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ぬいぐるみ

今日はリハビリ室の手洗い用シンクの下。

こういった所に、かわいらしいクマのぬいぐるみが置かれている。

外来の女の子は、残念ながら脳の病気による後遺症で、車椅子の生活をしている。

僕が担当させてもらっているわけではないのだけども、良く挨拶はするし、お母さんとも立ち話をすることもある。

彼女は機能回復のための外来のリハビリでウチに通っているのだけども

楽しみがあるらしい。

それはリハビリの帰り間際に、このクマのぬいぐるみを「いたずら」と称してコッソリ元の一位置と違う位置に置くことらしい。

クマの置き場所
それは、誰もが気づくような所で、かつ、意外性のあるところ・・・人が見て思わず笑みをうかべるようなところだ。

彼女の置くクマの位置を思うと、彼女の生活の空間が描かれていることに気がつく。

それは、車椅子で手を延ばせるところ。
彼女の目線。

だから、クマのぬいぐるみも、段差や窓際、固定自転車の上やシンクの下など、彼女の得意な空間に、置かれることになる。

それが病気を持った、そして後遺症をもった彼女の空間になる。

僕らが普段何気なく見ているものも、
車椅子の位置からは、見上げる位置にあったりする。

あるいは、僕らであれば覗き込むはずが、目線にあったりもする。

そこに楽しみを見つけてしまった彼女は、だからこそ、毎回クマのぬいぐるみを置いて帰るのだ。

今の彼女の痕跡が、くまの位置に現れる。

目下、彼女は立つ練習、歩く練習をしているようだ。

この後も、クマさんがどこに現れるのかを見守っていきたい。

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