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批判とゆうこと

「きけ わだつみのこえ」より

【羽仁五郎の『クロオチエ』を読んで】
吉村友男(早稲田大学文学部国文科学生。昭和十九年十月比島西方海上にて戦死。二十二歳)

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 クロオチエは批判とゆうことを一番大切にしました。
 歴史の正しい批判を現実に活かすことによって、人々が幸福になれるのだと考えていました。これはただ、歴史とか科学だけではなく、私たちの生活にも言えると思います。クロオチエのように「自分自身の批判」を持ち、それを活かすことによって、私たちは立派になれると思います。今の生活に都合が悪いからといって、批判をすてたなら、かえって、本当の幸福をうしなうことになると思います。それがわたしたちの教養とゆうものではないでしょうか。大きく一国とか人類の立場からいえば、それは学問です。教養のない国がどうして立派に幸福に、なれるでしょうか。その学問が批判とゆうものでなければならないと、クロオチエは言ったのだと思います。
 教養が欲望にまけていて、わたしたちは立派になれることはないでしょう。一国の場合でも同じことだと思います。

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きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記 (岩波文庫)

岩波書店

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