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後輩Breakthrough

電子カルテ入力をしていたら、後輩くんたちが隣で申し送り(患者さんの情報伝達)をしていた。

若手君が『…IE(アイ・イー)…えぇと感染性心内膜炎…』

と『IE』を『感染性心内膜炎』と言い直したら、先輩君が

『なんで言い直したの?僕だってIEくらいわかるよ!』

と談笑していた。

僕はイジワルなのかやさしいのかわからないけど、

『じゃ、IEてなんの略か知ってる?』

と横槍で聞いてみたら、ふたりとも

『いえ…分かりません…。調べておきます…。』

ということだった。

『IEぐらい、ていうんだったらなんの略かは知っといたほうがいいよ。』

と言っておいた(先輩ヅラモード)。

医療者の中では病名など略語が当然のように使われるんだけども、元の言語が何であるかを知らないまま使われることが多い。

僕はなるべく元の単語を知った上で略語を使いたいと思っている(確かに、よくわからないものもあるけど…)

少なくとも後輩君たちは調べようと考えたようなので、ある程度は同意してくれたと思う。

ここで言う『IE』は
Internet Explorer の略ではなく

Infective Endocarditis
インフェクディブ・エンドオカルダイティス
(カタカナ発音ではこれに近いかな?)

Infective(インフェクディブ)は『感染性』の意味で、『感染』はInfection(インフェクション)。ICT(Infection Control Team:感染管理チーム)でも登場する語。

Endは『内』を意味してて、EVAR(イーバー、Endo- Vascular Aortic Repair:腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術)でも使われる単語ね。Endoscopy (エンドスコピー:内視鏡的)てのもあるよね。scope(スコープ)は、『見る機会』や『鏡』、『範囲、視野』などの意味がある。分かりやすいよね。

End の後に着く『O』は接続詞で、単語と単語をくっつけるときに使用されている。

Cardiは Cardiac(カーデイアック)で心臓。Cardiac arrest (カーディアック・アレスト:心停止)は知ってるかな?

最後のitis(イーティスあるいはアイティス)は単語の語尾について『炎症』を示す語。関節炎はArtritis(アースライティス)。関節リウマチはRA(Rheumatoid Arthritisリューマトイド・アースライティス)て言う。肝炎もHepatitis(ヘパタイティス)。肝臓はHepar(ヘパ)。ちなみにヘパリンという抗凝固薬は肝細胞から発見されてしまったので、こんな名前になってる(実際にはいたるところにある?)

…というようなことをツラツラと説明した。

若手君が

『わかりました!ブレークスルーです!』

と言ってて笑えた。

ブレークスルー(Breakthrough )は、『躍進』『解明』『進歩』ね。

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