今日は
第13回リハビリテーション研究会 in Yonago
(at 米子コンベンションセンター)
まずは、一般演題について
発表者の方と、それを聞いてた方、おつかれさまでした。
・・・以上。
僕の目当てだったのは、特別講演。
腰痛が、腰の構造学的問題(解剖学的問題)では”ない”と言う話になって久しいけども、このリハビリ分野はどうしも構造的問題にしたいらしい。・・・ので『腰痛のリハビリテーションーエビデンスに基づいてー』と、題された特別講演には興味があったのだ。
特別講演は岡山大学病院 総合リハビリテーション部 準教授 千田益生先生
僕は少し早めについたので、一般演題も数題聞くことが出来た。
その中で、「浮腰式運動療法」(←重力を用いる牽引?)について発表されている方がスライド一番に
『腰痛は二足直立を行う人間の宿命である』
という用語を挙げていて、ビックリした。
これは、以前であれば、腰痛の原因が、ヘルニア、すべり症、変形、姿勢、労働によって起こると信じられていた時代の言葉だ。
人間は2本足で歩くようになってから、構造的に腰に負担がかかるようになった。だから腰痛がになる。
・・・と信じられていた時代の言葉だ。
けども、はっきり言えば、人間はそれが大丈夫なように進化していると思う。
わざわざ、腰に負担がかかるようにに進化しないのじゃないだろうか?
しかも近年、腰痛症患者さんはグングン増えているわけだけど、動作様式が大きく変わったり、進化がすすんだとは考えられない。
現代では、
いきなり、リハビリ分野(というか理学療法士)レベルの洗礼を受けた感じだった。
・・・こういう発表を特別講演の先生が聞いてたら、大変なことになるぞ~
と思っていたら、見事に聞いておられたらしくて、講演の中ですっぱりとガイドラインに沿った形で、否定されておられた。
特別講演の出だしは、これはおもしろいことに、
『腰痛は二足直立を行う人間の宿命である』と言われているが・・・
という反証的出だしだったので、「さっきの”浮腰式”の方は勉強になるだろうなぁ~」と思った。
今回、特別講演を聞いて、すっきりしたことがある。
・急性腰痛のほとんどは治る(80~90%)。
・腰痛で危険なものの見落としをしないこと。それを除けば腰痛は安全なものだ。
・運動が良い(特殊アプローチの是非は問わない)
そして、「腰痛はよくわからない」ということ。
ちまたには、腰痛の原因が、さも腰部の構造的問題にあるとして、そこにアプローチを加えることにって治癒するようなことを宣伝しているものもある。
たしかに、症状は緩和するかもしれないが、考えなければならないのは、プラセボやシャムトリートメントを上回る結果を出さなければならないということだ。
何をやっても似たような結果がでるのであれば、費用効率の高い方が良い。
そうすると、
手術や特殊の器具や徒手アプローチが必ずしも良いのではなくて
「日常生活を送ること」と「運動をすること」
という選択になるのがおもしろい。
これは、今まで通りの生活だ。
ほんのわずかな可能性を除けば、腰痛はほっとけば治る。
むしろ腰痛に気をとられて生活することこそが、腰痛を遷延/悪化させてしまう。
腰痛に屈するな!
将来、腰痛診療が危険信号(悪性腫瘍、脊椎感染症、骨折、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎、馬尾症候群)の鑑別をしっかりと行った上で、患者さんの生活にそったアドバイスが行えるようになれば、国の医療費も患者さんの自己負担かなり安くなると思う。
そして、腰痛も減る!
講演会終了後、開場横の川沿いの桜を見て気分よかった!
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