JSPEN (ジャスペン JSPEN: Japanese Society for Parenteral & Enteral Nutrition: 日本静脈経腸栄養学会 )2日目!
朝は8:30から。
◾️招聘講演『How to organize a nutrition support team(NST)?』
(Andre Van Gossum, Nutrition Support Team, Erasme Hospital, Brussels, Belgium )
ESPENのチェアマンによるNSTの歴史や経歴
ベルギーではNSTは1986年に始まったらしい。
NSTとは何か?その定義の根本についての説明された。
僕たちの活動に取り入れていきたいと感じたのは、NSTは院内活動ではあるけども栄養のスクリーニングは入院前や退院後の在宅生活にも及ぶこと、またベルギーでは「栄養の日」を年一回設けてあり、院内外で啓発活動が行われているということ(病院全体ではできないので、病棟を選んでいるとのこと)。そして、NSTが監査活動として院内(病棟や診療科)の栄養提供方法などの現状をフィードバックしていること、など。もっとやれることがありそうだな。
チームの作成については、熱心なスタッフを集める、原稿の活動を確認する、ニーズを把握する、他職種ネットワークを作る、目標を定めステップバイステップで活動を行なっていく、管理者の指示を受ける、報告をする、資金面の確認などが必要とのこと。なるほど。
低栄養の患者さん、静脈栄養の患者さんの把握、間接的な費用対効果(在院日数の短縮の提示)などをしっかりと把握していくことが大切だな。
◾️『Nitrition and functionality in older adults』
(Juergen M Bauer, Center of Geriatric Medicine, University of Heidelberg: Agaplesion Nethanien Hospital, Heidelberg, Germany)
サルコペニア、フレイルの説明と、オステオサルコペニア(Low muscle density + low bone mineral density = osteosarcopenia)についての言及があった。cognitive sarcopeniaという語の言及もあったと思ったけど、聞き間違いか?
講演の中で日本からの報告が多く提示された。
◾️招聘講演『PhilSPEN Dedication to education program: Multi-disciplinary and multi-speciality approach』
(Eliza Meigs Perez Francisco, President 2015-2016, Philippine Society for Parenteral and Enteral Nutrition(PhilSPEN)St. Luke's Medical Center, Global City, Philippines/Asian Hospital and Medical Center, Philippines/Mary Mediatrix Medical Center, Lipa City, Philippines)
看護師、薬剤師、管理栄養士、医師それぞれに対する教育研修の紹介。
残念ながら、セラピストやそのほかの職種についての教育プログラムはなかったけども、楽しく専門・他分野に渡る内容も組んであるみたい。
『チームワークはドリームワークを可能にする。』とのメッセージ。
『Expanding Horizon in Clinical Nutrition』
今年11月19-21日にフィリピン・マニラで開催されるアジア静脈経腸栄養学会学術大会(PENSA:Parenteral and Enteral Nutrition Society of Asia)についてのプレゼンテーションをされた。とても楽しそう。
◾️ランチョンセミナー『脳腸相関と腸内フローラ~短鎖脂肪酸を介した水溶性食物繊維の重要な役割~』(内藤 裕二 先生 京都府立医科大学附属病院 内視鏡・超音波診療部 部長)
脳腸相関により全身が受ける影響について、かなり凝縮された内容だった。提示された資料も膨大でついていけなかったけど、大枠は理解できたので楽しかった。
よりよい腸内フローラを次世代につなげるために、いまから国民が腸内環境のことを意識していかなければならないと感じた。
このランチョンセミナーでは、アンケートを提出した方のみに講師の著書が配布されたので、後でゆっくり読んでみようと思う。
◾️シンポジウム『ERAS(Enhanced Recovery After Surgery:術後回復強化)に基づく栄養管理(上部消化管)』
・「胃がん手術におけるERASに基づく周術期管理の安全性・有効性に関するランダム化比較試験」(李 相雄 大阪医科大学 一般・消化器外科/大阪医科大学病院 栄養部NST)
・「術後合併症減少を目的とした胃癌患者における術前経管栄養療法の検討」(宮前 洋平 高崎総合医療センター 消化器外科)
・「経口補助食品を利用した胃癌周術期経口摂取継続と分粥の廃止の効果」(大司 俊郎 武蔵野赤十字病院 外科)
・「胃腫瘍に対する日本型ERASプログラムの安全性と認容性について」(鈴木 裕 国際医療福祉大学病院外科)
・「食道癌周術期管理における早期経腸栄養の画像的安全性の評価」(尾形 高士 神奈川県立がんセンター 消化器外科)
・「膵頭十二指腸切除術におけるERASに基づいた栄養管理の課題―周術期経口摂取と体重減少について―」(眞次 康弘 県立広島病院 栄養管理科/県立広島病院 消化器・乳腺・移植外科)
よりエンハンスされていると感じた。
シンポジストの発表がよい参考になったけども、司会の先生のコメントが秀逸でより理解が深まった。
◾️シンポジウム『リハビリテーションにおける栄養療法』
・「急性期から回復期にかけての立位歩行訓練と高BCAA含有食品による早期栄養介入効果~ランダム化比較試験」(森脇 美早 社会医療法人祐生会 みどりヶ丘病院 リハビリテーション科)
・「大腿骨頚部骨折患者に対する急性期リハ栄養は有用か?~単施設ランダム化比較対照試験~」(鈴木 裕也 社会医療法人製鉄記念八幡病院リハビリテーション部)
・「大腸癌患者における術後合併症の危険因子の予測:術前の身体機能と術後のエネルギー充足率による検討」(矢部 広樹 聖隷クリストファー大学 リハビリテーション学部 理学療法学科/医療法人偕行会 名古屋共立病院 リハビリテーション科)
・「リハビリテーションが必要ながん患者におけるサルコペニアの有病率と身体機能への影響」(渡邉 直子 横浜市立大学附属市民総合医療センター リハビリテーション部)
・「サルコペニア・悪液質評価とリハビリテーション栄養実践におけるリハビリテーション栄養チームの効果」小蔵 要司 社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院 臨床栄養課)
・「日本リハビリテーション栄養研究会における臨床研究支援活動の成果~リハ栄養のエビデンス構築を目指して~」(森 隆志 総合南東北病院)
BCAA高配合食品摂取とリハ介入効果におけるRCT研究が出されたのだけど、そもそものエネルギー摂取量の議論も必要かという話もあがった。
そのほか、研究によって何を明らかにするのかという点や、研究の設定について、細かな言及があり、聞いていて理解が深まった。
このセッションでも、質疑者や司会の応答が素晴らしく、大変勉強になった。
午後のシンポジウム2つは大変勉強になったのだけど、会場の参加者が少ないのが少し残念に感じた。僕としてはヒットなセッションだったのだけどなぁ。この世界が盛り上がってきている予感はするのだけど!
さて、2日間による学会も終わり!
得たもの沢山なので、自己フィードバックしておこうと思う(毎回忘れるけど)
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