患者さんのベッドサイドでのリハビリ。
意識状態もよろしくなく、病室での介入を行っていた。
ふと、無言でドクタが姿を現した。
この病棟、脳神経センタのドクタではなく、いつもは見かけることのない診療科のドクタだ。
僕が挨拶をすると、そのドクタは無愛想に
『PSどう?』
と目も合わさずに聞いてきた。
PS?
(・_・)ハテ
よくわからなかったので、わかりませんと答えたら
『わからないかぁ… ┐(´~`;)』
と、呆れ口調で独り言なのか僕への言葉なのかわからない態度でこぼされた。
僕としては、『PS』といえば、ポスト・スクリプト(Post Script)のことで、手紙の最後に書く『追伸』の意味か、あるいはプログラミング言語のことだ。ベッドサイドで使ったことはない。
『PSて何ですか?』
と素直に質問したところ、そのドクタは
いい加減にしろよ的な態度で
『だから、全身状態はどうかってことっ(怒)!』
と言われた。
それなら答えられるっ!
ということで、僕の知っている全身状態を伝えた。
なるほど、PSって全身状態のことか…
Physical status?
と思ったのだけど、後に看護師さんに聞いたところ、どうやら
以下のことのよう。
パフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
全身状態の指標の一つで、患者さんの日常生活の制限の程度を示します。
- まったく問題なく活動できる。発症前と同じ日常生活が制限なく行える。
- 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行う ことができる。例:軽い家事、事務作業
- 歩行可能で、自分の身のまわりのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
- 限られた自分の身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
- まったく動けない。自分の身のまわりのことはまったくできない。完全にベッドか椅子で過ごす。
以上はECOG(米国の腫瘍学の団体の1つ)が決めた、Performance Status(PS)の日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)による日本語訳です。この規準は全身状態の指標であり、病気による局所症状で活動性が制限されている場合には、臨床的に判断することになっています。
なるほど、勉強になった。
(先ほどの患者さんは『4』になるのだと思う)
でも、このドクタの態度はあまり気持ちの良いものではなかった。
一言で言うと、
『それが人にモノを尋ねる態度ですか?』
というところ。
でも、このドクタのおかげで一つ知っている単語が増えたのは確か。
そして情動を伴って、ぼくの記憶に留まり易いだろうと思う。
ちなみに、
このドクタの名札を見るのを忘れていた。
仕方がないから、次からは『ポストスクリプト先生』と(心の中で)言うことにしよう。
追伸
たまたまエレベータ前で出会った院長に、『PSって言われたら、何のことだと思います?』って聞いたら、
『ポストスクリプト…追伸かの』
と答えられて嬉しかった。
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