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C-2

新しい輸送機が配備されることになったらしい。
まだ先のことだけども。

僕の住まいの付近には
自衛隊の美保(みほ)基地というのがある。

この基地からは、飛行訓練として輸送機C-1(シーワン)が一日何本も飛び立っては着地を繰り返している。

C-1は運用開始から40年も経っているらしく、新しいものに順次取り代わるらしい。
順次、というのは国の計画によって、最終的に何機が配備されているのか決っていないからだ。
いまのところ2機くるらしい。

そのための航空自衛隊と市による地域住民に向けた説明会というのがあったので、会場に向かった。
会場は地区の公民館で、こちらもかなりの老朽化を来している。

小学校の時から、空にこの輸送機が飛んでいるのを見ていた。

ふっくらした機体で、別名イモムシと言うんだというのは、中学生の時に色白の友達から聞かされた。

だから、C-1を見るといつも彼のことを思い出す。
喘息は治ったんだろうか。

公民館で行われた説明会の内容は、新しい輸送機の性能や大きさについて、そして基地周囲ということで、騒音の問題が主立ったものだともう。
「どうぞご理解を」ということなのだ。

新しい機体は仮称で、C-2とされていた。

たしかに、騒音の問題はあって、人の声がかき消されるほどの音でC-1は飛んでいた。
小さい頃は、テレビが聞こえなくなるので、うっとうしく思っていた。
それも、日に何十回もだ。暑い夏なんかはとくにうるさく思う。
五月の蝿とは違って、打ち落とすことなんかできないので、じっとその不快を味合わなければならないのだ。

それでも
空を飛んでいる飛行機にはどことなく憧れようなものがあって、僕はついつい目で追っていた。
空をながめる癖がついたのもそんなことのせいかもしれない。

そして、今となれば、あのうるささにも幾分親しみのようなものを感じてしまっている。

説明会用の資料とプロジェクターで映されているものは全く同じだったけども、何度も見比べた。

新しい機種がC-2という仮称を持つこと
そして、積載量が8tから30tになり、今回ようなの被災地への輸送作業も従来4回往復しなければならないところを1回で済むようになり、迅速な活動が行えるようになることが説明された。

また、
航続距離が1,700kmから6,500kmへと大幅に延長している。
いままでは、国内範囲までしか飛べなかったものが、カナダやオーストラリア、スカンジナビア半島の手前まで行けるようになる。ホノルル、アンカレッジ、イスラマバード、デリ、シンガポール、ジャガルタ、を包み込む。
国際貢献も可能ということだった。

当然、機体も格段大きくなっている。
幅が31mから44mに、長さが29mから44mに、高さが 10mから14mになっている。

これで、騒音が大きくならないわけないだろうと、住民達は憤るわけである。

質問の時間と称した文句のはけ口時間では、やはり騒音の問題が取り上げられた。
そして保証。

僕はというと、どうも彼らとは感性が違うのか、そんなことはどうでもよかった。
(といったら、皆さんに白い目で見られそうだが)

僕が興味があったのは、新しい機体は何機配備されることになるか、とかC-1はなくなってしまうのか?とかパイロットは何人だろうかとかそういったことだ。

僕としては、かなりの歓迎ムードだったので、変な雰囲気の中で質問に立つことができなかった。

説明する係の方も、とにかく平身低頭、住民の皆様に申し訳ないモードで話しをされていた。

説明会は成功したのかどうか分からなかった。

住民はうんざりしていたように見えた。
2つの点について明らかなことがあった。

一つは、騒音についてうんざりしていたこと。
もう一つは、それについて文句を言う人の的の外れた長々とした演説についてうんざりしていたことだ。

説明会が終わった後、住民が出入り口に向かう中を逆行して、僕は自衛隊の方達のところに向かった。

「説明会ありがとうございました」とお辞儀をしたら、向こうも同時に「ありがとうございました」とお辞儀をされていた。

なんだか、責められてばっかりだったので、歓迎している住民もいるんだということを分かってほしかったんだ。

ついでなので、機体の色は何色になるのか聞いた。

プロジェクタに示された試験機は白地に朱で、国旗のようだった。日の丸も鮮やかに映えていた。
ちなみに今飛んでいるC-1は深緑だけども、これも渋くていい。控えめで、縁の下の力持ちの雰囲気を漂わせている。

しばらくはC-1とC-2が飛ぶことになると思うが、空を見上げたときどうやって機体を確認できるだろう。
今まで通り深緑でもいいが、今回見た白も鮮やかでかっこ良かった。

まだ、機体の色は決っていないらしい。

「あたらしい機体、楽しみにしています。」
と言ったら、またもや平身低頭された。

なぜ、僕らのために働く人が、僕らに平身低頭にならなければならないのか。

僕のようなワケの分からない年下に対してまでもエビのように背中を丸めて。

こんなことできるの
自らの仕事の尊さを知っておられるからだろうな。

公民館からの帰り道、自転車を飛ばした。

おじさん、おじいさん達を追い抜いて、心地よい風を感じた。

コメント

  1. U より:

    Unknown
    確かに騒音とかあるかも知れないが,離島では患者の搬送にも使われたりもするのでないと困ります。

  2. kazz より:

    >Uさん
    だよね。

    みなさんも分かっておられて、
    C-2導入については、基本的に反対する方はおられなかった、けども、どうにかして騒音を減らしてもらいたいという要望はいわれていたよ。

    あの騒音が(基準範囲内と言っても)かなりのストレスになっているかたは多いかもしれない。

    ぼくは全く気にしないのだが・・・

    ちなみに隠岐にC-1が発着するのを知らなかったよ!
    http://www.mod.go.jp/asdf/webmagazine/vol1/kichi/p15.html

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