長らく、ボバースアプローチについて学んできた。
が
不真面目であったせいの結果か、ボバースアプローチがよくわかったかというと、逆に定義しづらくなった面がある。
今の時代において、神経学的な知識は、程度の差はあるにせよ一般に広まり、一般的な理学療法においてもその重要性と知識が広まっている。
もはや、「ボバースは」という語りが「神経学的な」という形容にはなりえないと思う。
その一歩先や、あるいは根底に何を見つめているかを問わなければ、「ただの理学療法」と一緒だと思う。
「general(一般の)」な、あるいは「conventional(伝統的な)」な理学療法とは何か?
そして、そうではない「ボバースアプローチ」とは何か?
それは
1943年にリハビリ技術の特殊型として創始された「ボバースアプローチ」の時代と、現代とでは話が違う。
現代において、
もはや1940年代までのように整形的なアプローチを脳卒中後遺症者への機能回復にもはめ込むことはしないと思う。
いや、それはそれで無意味というわけではない。
「機能代償」を、道具の使用や他の身体の使用法で図ったということは意味深かったと思う。
しかし、脳卒中後遺症者のアプローチにおいて「麻痺側は治らないから放っておいて、非麻痺則(健側)の筋力強化や道具の使用」のみですましている人はいないと言ってよいだろう。
そして現代においては「神経系の作用を考慮しない」アプローチというものないと思う。
1940年代から近代にかけては、そのアプローチの差・・・つまり、「一般的な、伝統的な理学療法」と「ボバースアプローチ」の差は大きかったと思う。
なにせ、それまでアプローチの対象とならなかった、触りすらしなかった「麻痺側」という所にボバースアプローチは手をつけたのだから。
現代的な感覚から言って、取り扱わないより、取り扱った方が良いに決まっていると思う。
ただし、現代はそうじゃない。
麻痺側の機能回復や脳の可塑性も当然の様に言われているし、もっといえばQOL向上のためのアプローチとしてリハビリテーションが多種多様に動いている。
そして、混乱することの要因の一つに
ボバースアプローチの有効性については、確たるものがない。
『「ボバースアプローチ」にはエビデンスがない!』
↑
と言って批判している人達は考えてもらいたいのだけど、
そもそも、具体的方法論としての理学療法にエビデンスはどれだけあるのか?
「では、何か効果あるものを示してくれ」と言われた時に「しっかりとしたエビデンスのある何か」を差し出せるのか?
・・・厳しいようだが、そういったことになっている。
そういった曖昧な世界に身を投じていて、「ボバースアプローチ」は何か?ということを考えることは、そもそも「理学療法」を行っている自分自身の技術者としての価値を問い直すいい機会になる。
そういうわけで、すこしばかり遅まきながら、2009年に発刊された洋書
Bobath Concept: Theory and Clinical Practice in Neurological RehabilitationWiley-Blackwellこのアイテムの詳細を見る |
を読もうと思っているのである。
参考
KAZZ BLOG「ボバース・・・で?」(2009年09月26日)
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