今日は
■腰痛ゼミナールin 米子開催!
内容は
・腰痛に対する正しい知識
メディアリテラシーについて話を交えながらのよい講演だった。
・・・
医学会には信頼のおける情報と、そうでない情報(参考程度に留めるべき情報)というのがある。
日本の腰痛事情においては、科学的根拠に基づいた情報はむしろ無視されていて嘘の情報の方が多い。
理学療法・作業療法専門誌、あるいは看護分野にわたっても、嘘の情報(というか、何も根拠のない情報)で「腰痛」は解説されている。
で、何も根拠のない情報で、むしろ腰痛患者を増やしているんではないかという懸念さえある。
今回の講演会に参加するにあたって、部屋に散らばっている資料をあさっていたら、おもしろい記事を発見した。
山陰中央新報の記事だ。
2008年1月23日「健康ナビ」というコラムで、松江医療福祉専門学校理学療法士科専任講師・宮川孝芳さんが「ぎっくり腰(急性腰痛症)」について書いておられる。
『楽な姿勢で3日間安静に』
とデカデカと書いてあるのだが・・・
実際には「安静」は腰痛を長引かせると言われていて、推奨されない。
可能な範囲で日常生活を行うことが、よりはやい復帰を促すと考えられる。
この新聞記事には、世界のガイドラインでは否定されていることが、さも当然のように書かれている。
「ぎっくり腰の対策としては安静が第一です。無理に動かしたり体を起こしたりせず、少しでも楽になる姿勢を探して休んでください(中略)何もせずじっとしていることが何よりの対処法と言えます。」
「普段から腰に負担をかけないような姿勢を心掛け、適度な運動を行うようにしましょう。」
これは、腰痛を長引かせ慢性化させ悪化させるための方法だと思うのだけども・・・
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■世界のガイドラインでは
「長期間の安静臥床は、腰痛を慢性化させ社会復帰を遅らせる。」(イギリス)
「激痛のために安静を強いられている患者でも2日以上寝ているべきではない。」(ニュージーランド、イスラエル、デンマーク、オランダ、ドイツ)
「激痛による結果的な安静臥床は治療と考えるべきではない。」(イギリス)
「ほとんどの腰痛患者は安静臥床を必要とせず、4日以上の安静臥床は患者を衰弱させる。」(アメリカ)
■システマティックレビューやRCTという根拠の強い情報としては
「治療としての安静臥床はやめさせるべきだという世界的コンセンサスがある。」
「安静臥床の効果は、無治療やプラシーボと変わらないか、劣っている。(レベルA)」
「安静臥床によって腰痛が回復するという証拠はひとつもない。(レベルA) 」
※
参考
TMSジャパン長谷川淳史氏の2007年講義資料
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不思議でかなわない。
なぜ、専門家であるはずの理学療法士(しかも学校の講師)が、医学会の知識を覆して「安静」をすすめるような情報を流すのだろうか?
専門書にも「腰痛は二足直立を行った人間の宿命である」とか、誤った情報(科学的には完全に非定位されている情報)が蔓延している。
ただしい(と思われる)情報を多くの人に知ってもらうことが必要だと思う。
そのためにも、この草の根的な腰痛ゼミナールのようなものは有用だと思う。
ボランティアで活動されているGLN(グリーンライト・ネットワーク)が、腰痛の正しい知識の普及に努めておられる。
なぜ、医療従事者が嘘情報をながして、こういった一般の方たちがボランティアで正しい知識の普及をされているのか・・・
不思議だ・・・
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腰痛に関して、最も真っ当な書籍と考えているものを紹介する。
医学書ではない。一般書だ。
腰痛は<怒り>である 普及版長谷川 淳史春秋社このアイテムの詳細を見る |
腰痛ガイドブック 根拠に基づく治療戦略(CD付)長谷川 淳史,田中 敦子(CDナレーション)春秋社このアイテムの詳細を見る |
コメント
Unknown
先日は本当にありがとうございました。
有意義なセミナーだったと思います。
秋にもまた計画しますのでよろしく!
>むこさん
こちらこそありがとうございました!
また秋もよろしくお願い致します!
Unknown
今回勉強会参加できなくて残念でした!
ガイドラインのエビデンスは
すぐれた論文の
システマティックレビュー
などを基にして
つくってあるでしょうから
治療の
ファーストチョイス
としていいと
僕自身は思います
もちろん
エビデンスはすべてでなく
すべての患者さんに当てはまるわけではないので
個々の対応が重要ですが
『個々の対応』
と称して
たとえば
脳卒中のガイドラインで
推奨されている
『離床』させず
エビデンスすらない
『促通』なる訓練のため
半月寝かしていたり。。。とか。。
PT業界では
『あるとおもいます』(笑)
今回の
『腰痛』の件も
似たような話と感じました。
なんにせよ
その疾患の治療にかかわるのなら
周辺知識のレビューと
ガイドラインの動向は
チェックしておくことは大切と
思う今日この頃です
あるとおもいます
>Mですさん
あるとおもいます(笑)!
良きにつけ悪しきにつけ
まだまだPTは「気分」で行動していることが多いと思います。
で、
「3た論法」でみちびかれた曖昧な「効果」をかざしながら、自己満足に浸ってしまう危険性があります。
「専門家」であるはずが、いつのまにか「井の中の蛙」に・・・
アデミックな方たちが、自分(とその一派達)が以前書いた論文のみを参考・引用文献に挙げて、また新たな論文を量産する時代ですから・・・
臨床家としては気をつけていきたいと思っています。