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オムツ

認知症のお婆ちゃん。

アルツハイマー型の認知症で、とんだ失敗から骨を折ったことで入院して手術を受けられた。

担当の理学療法士が休みで、その日は代わりに僕が担当となった。

これから、週に一回は僕がお伺いすることになる。

さて、
看護師さんに情報を聞きにいくと、

『少し触っただけでも、大声を上げて動けない』

といった障害像。

看護師さんは枕詞のように「認知症で」を付けたがるが、認知症の症状とは関係ないことまで、「認知症で」ということで方付けられていたりする。

例えば、嫌だったり痛かったりしたら嫌がるのが普通だが、看護師さんにかかれば、それがあたかも認知症の症状のようになってしまう。

このお婆ちゃんはちゃんと挨拶も丁寧にできるし、自分の症状だって言うことが出来る。促せば、起き上がって、車椅子に座ることだって出来ている。

んで、これが看護さんにかかると
『少し触っただけでも、大声を上げて動けない』
患者さんになっているのだ。

おかしいよね。


このお婆ちゃんに車椅子に乗ってもらって、エレベータ付近まで来たところ。

「トイレに行きたいやな」
(・_・)

と言われた。

車椅子を転換して、看護師さんに相談しに病室に向かった。

すぐにトイレに行かないわけは、ニョーソク(尿測)といって、尿の量を測る必要のある方であれば、勝手にトイレに行って排泄したりなんかしてはイケないからだ。

病室に入ろうとしたところ、お婆ちゃんは入り口のところを手で押さえて、部屋に入ることを抵抗された。

「どしたの?」

と聞くと

「ここは人がいっぱいおるけん」

と言われる。
お婆ちゃん、しっかりしてる~!

公衆の面前で排泄なんてしたくないのが普通だろう。

ちなみに、病室は、「寝るところ」「食事するところ」「診察するところ」「日中くつろぐところ」「排泄するところ」その他全てをするところにもなる、普通で考えたら尋常ではない世界だ。
しかも6人部屋だったりする。

尿測の必要性を部屋の奥にいる看護師さんに聞いたら

「大丈夫です」

って答えてくれた。

でも、
その後になんて言ったと思う?

「そのままで (l´Д`)」

って付け加えられた。

これはどういうことかというと

「排泄はオムツの中にしてください」

てことらしい。

バッカジャネーノ!
(#゜Д゜)!!

てことで、僕がトイレにお婆ちゃんをお連れすると、慌てて看護師さんが飛んできた。

悪いと思われたのか、何なのか知らないけど手袋をはめてやってきた。

「やりますから、やりますから。」

「いいよ僕がやるから」

「やりますよ。オムツだってずれてるし」

「いいよ、忙しいんでしょ」

「やりますって、寝た状態でオムツかえますから」

「いや、大丈夫だって。僕一人で出来るから」

というやり取りを繰り返した。

その間、立ったまま自分のオムツの奪い合いをされているお婆ちゃんは、手術した側の脚でもしっかりと体を支えていた・・・

トイレでは少々興奮していた僕だけど、後から考えると滑稽で仕方ないな。

もっとチームワークを優先するべきだった。


お婆ちゃん談

「あんたのおかげだよ~」

何に対してか分からなかったけど、なんだか嬉しかったね!

コメント

  1. 某Dr より:

    寝食排泄の分離はをしない病院は・・・
    寝食排泄の分離の重要性がわからないヤツは医療従事者と名乗る価値はないとその茄子に言っておいてください

  2. meguko より:

    Unknown
    『認知症があるから・・・』も、『オムツで排泄』も、うちの病院ではよく見かける光景ですね。
    オムツで排泄に関しては、就職して初めて聞いたときは、衝撃でした
    今どきこんな病院があるんだ・・・って
    最近はそれでも減ってきたかなって思ってましたが・・・。

    今日はこれまた面白い・・・いや、ひどい場面を目にしました。
    あるドクターとナースが口喧嘩を・・・
    ナースは相当頭にきたみたいで、ポータブルトイレへ移る介助をしようとしている同期のナースのもとへ愚痴りに・・・。
    そこにもう1人ナースが入ってきて3人でギャーギャードクターの文句を言って盛り上がり・・・
    すると隣で患者さんはベッドから転倒

    おいおいおいおいおい・・・

    とっても不安になりました。

  3. そら より:

    それは
    お婆ちゃん
    嬉しかったでしょうね!!
    やっぱり
    女性なんだ♪

    6人部屋
    私はすぐに
    仲良くなって喋るので
    大部屋のメリットもありました
    女性心を忘れない
    素敵な人生の先輩達に
    たくさん出会ったし

    どういう患者さんと
    一緒になるかにも
    よるのですが
    痴呆の方の夜の
    不思議な合唱はすごく
    わけわからん会話がなりたって
    寝れなかったなぁ(苦笑)

    トイレも
    点滴のころころあると
    使える場所限られちゃうから
    実は 歩けても
    問題あり~

    ドレーンのカバーとかも
    普通に欲しかった・・・

    新病院が
    本当に
    楽しみです

    でも
    看護師さん 本当に
    忍耐強く
    素晴らしい方がほとんどでした
    (ほとんど・・・なわけですけど)

    看護より
    介護の比重が多いのが
    現状な気がして
    少し気の毒に思う時もありました

    本当に
    緊急のナースコールが
    意味をなさなくなるんじゃないかと
    少し 怖くなってしまってた

    実は
    私の祖父(痴呆)が以前入院した時と
    自分が入院した時
    隣の部屋だったわけですが・・・

    病院の対応の違いに
    若干 家族は驚いていたりする部分も
    ありました。
    私の時は本当によくしてもらったので
    (名前違うから 
     向こうはわかんないとは思います)

    祖父は痴呆で
    くだを抜くから
    抜かないように 24時間家族が付添
    が入院させて頂く条件だったんですが
    付添が寝るときに
    ちょうど頭のところに
    尿を入れる袋がきてたのは
    さすがに
    なんとかならないか
    母がお願いしたようデス・・・

    家族としては
    おいて頂いて
    みて頂いてるから
    なかなか 強く言えないんですけども

    排泄系は特に気になる話ですね

    QOL
    プライバシー
    病院という場所

    でも看護師さん達の
    労働環境や
    設備環境

    難しい
    でも
    ちょっとした
    配慮で
    変わることは
    やっぱり あると思うし

    そんな風に
    一生懸命になってくれるの
    嬉しいですよ!

    忘れられない看護師さんが
    何人かいます・・・

  4. kazz より:

    re:寝食排泄の分離はをしない病院は・・・ (某Dr)
    多分、業務の流れの中で「まぁ、これでもいっか」ってのが、積み重なってしまっているんでしょうね。

    そう思うと、専門職って何なんでしょうね。

    多分、素人が見たらトイレで排泄をすることや食事をしかるべきところですることは、至って普通のことなんですけど、病院では「特別なこと」になってしまうなんて変です。

  5. kazz より:

    >Unknown (meguko)
    看護師さんもかなり過酷な状況で仕事していて大変だと思うけど、それはイカンなぁ~。
    反省してくれているんだろうか?

    プロフェッショナリズム・・・
    毅然とした態度で仕事してほしいよね・・・

    って、自分のこと棚に上げちゃった(笑)!

    ほんとにいい看護師さんもいれば、悪い看護師さんもいるのは仕方の無いことなんだけど・・・
    あまりにもって場合もあるからね・・・

    専門性以外の部分でも、普通の人としてやってもらいたいことはやってもらいたいよね・・・

    って、また自分のこと棚に上げちゃった(笑)!

  6. kazz より:

    >それは (そら)
    いろんな指摘ありがとうございます。
    患者さん、ご家族さんの視点って大切なんです。

    けど、皆さんたいてい「申し訳ない」とスタッフに気を使われていたりして、あまり要望を言われないこともあります。

    また、「文句を言ったら、受け身である自分が何をされるかわからん」と不満を言っておられる患者さんも居られました。
    そういう感情ってあると思いますね。


    患者さんのために「患者様の声」BOXが設けてあります!

    もし良かったら、見つけた点/改善したい点はどしどしご投稿ください!
    これによって、個人的な避難は生じません。
    (例えば、「kazzは最悪の理学療法士だ。」という投稿をしても、kazzに直接罰則が生じたりしません)

    何かあれば、直接スタッフに言ってもらっても良いですが、「患者様の声」BOXは、声が病院全体に広がって病院の改善につながります!
    他の患者さんの助けにもなります。

    患者さん達、ご家族さん達の「あーだったらな、こーだったらな」を受けていくBOXでもあります。

    ・・・と、患者さんには勧めています!

    そらさんのように、新病院を楽しみにしていてくれるかたがいるというのは本当に励みになります!
    また、よろしくお願いいたします!

  7. MTひろ より:

    排泄支援
    はじめまして☆
    作業療法士のひろです

    排泄介助量軽減は重要です。

    しかし、入院すると尿便意とその訴えが少ない状態になって退院させてしまう病院は結構多いように思います。

    それをくいとめたい思いで排泄練習に取り組んでいます。

    ある寝たきりのケースがADL向上して数分の立位保持が可能になったので、介護職にオムツからリハビリパンツへの変更はどうでしょう?とお願いしました。

    次の日、ビックリしました

    オムツの上からリハパンを履いていました。

    1週間経っても変化がありません。
    「こういう風になっているんですが・・・」という指摘をやんわりとしているにもかかわらず変わりません。

    おかしいと思わないみたいです。

  8. kazz より:

    >排泄支援 (MTひろ)
    こんにちは初めまして!

    おっしゃる通り、疾患ではなく”入院したせいで”・・・もっと言えば不適切な看護/介護のせいで排泄に問題を持ってしまうことって多いのかもしれません。

    排泄練習の取り組み、ほんとに重要なことと思います。
    (では、僕が力を入れているか?といわれれば、そうとも言えないのが悲しいところですが・・・)

    それにしても
    オムツの上からリハビリパンツってのも凄まじい事態ですね・・・よけいに大変な気がしますが、現場ではどう感じておられるんでしょうね?

    やんわりいってダメならば・・・

    と、強行手段に出てしまうのが、僕の悪いところでして・・・
    (^_^;)

    とにかく、改善に向けて頑張りましょう!

  9. 女医M より:

    言いたくなっちゃった
    朝から私も一言言いたくなった…
    オムツの上からリハパン!!
    あるんですよ、これが

    そして私もやってしまう人…
    自分でトイレに連れて行ってあげて、リハパンおろして、オムツをはずして、排泄済まして、リハパンはかせて、お部屋に帰す。
    (手すりで立位支持できる人限定ですけどね)
    その後、「このビショビショのオムツ、どこに捨てるのかしら~。こんなのの上からリハパンはかせるんだね~」とスタッフにいやみ。

    解ってるんだよ、こんな方法はダメだって。
    日頃のチームワーク作り、気持ちを伝えあう努力、一人の患者のもとに願いが集結…やらなきゃいけないことはたくさんありますね。

    私の病院、101床全部回復期リハ病棟です。
    立ち上がったばかりのひよっこ病棟ですが、少しずつ形ができ始めました。
    4月から退院後の方を対象に訪問リハも始めます。
    ケアマネさんとのチームワークもこれから進めます。
    患者さんの住む地域、家での暮らし、家族の思い…そんなことをちゃんと病棟に持ち込んで、思いを共有してやってゆきたい、と。
    思いは壮大だけど、ご存知のように根っからの「へたれ」、な私。
    また帰った時に元気の出るトークお願いします。

  10. MTひろ より:

    Unknown
    ありえないですよね

    回復期はやりがいがあっておもしろそうですね
    自分をそこで雇ってくださいw

  11. kazz より:

    >言いたくなっちゃった (女医M)
    えっ?

    誰が「ヘタレ」ですって(笑)?

    にしても、あるんですね・・・オムツの上からリハパン・・・。

    見たことも聞いたこともないので、特殊なことかと思ったのですが、どうやらそうでもなさそうですねぇ。(なんだか、アバンティの人みたいな言い回し)

    あるいは
    僕が現場を知らないだけかな・・・?
    と思ったりして・・・

    「これって、どうなのよぅ!」
    ってのってなかなか言い出しにくいことありますよね。

    現場の常識が一般のそれと大きくずれていることってありますし。
    そこに指摘をすると、向こう(←現場の常識で動いている輩)としては

    「あんたバカァ?」

    と言われる気分でしょうね。

    んなもんで、スタッフ間にひび割れが生じてしまうかもしれません・・・

    が、
    目と耳をふさぎ、口を噤んだもののように振る舞うよりは・・・
    「ライ麦畑のつかまえ役(The catcher in the Rye)」そういったものに僕はなりたいんです。

    あ・・・
    くどい(笑)?

    また、帰ってこられるとき連絡ください!
    茶(酒?)でもして話しましょう!
    てか、
    いろいろ聞かせてください!

  12. kazz より:

    >Unknown (MTひろ)
    就職活動ですか(笑)?!

    いろんな視点の方が勤められたらおもしろいと思います!

    んが、
    某女医Mさんの回復期は東京ですのでっ、是非面接に(笑)!

    ま、この世界、急性期から在宅どこに行ってもやり甲斐ありまくりでしょう!

    あるいは、今のところにやり甲斐を感じていないですか?
    ぁ・・・突っ込まな方がいいか(汗)!

    ではまた!

  13. MTひろ より:

    Unknown
    あ、冗談ですw

    やりがいはあります!波がありますがw

  14. 女医M より:

    冗談?
    ひろさん、OTさんなんですか…
    んで、冗談でなく、OTさんも募集していますから来てください

  15. kazz より:

    >冗談? (女医M)
    ブログ上で面談てのも、可能かもしれませんね!

    お二人さんっ(笑)!

  16. カエルナース より:

    感激!そしてごめんなさい
    私は神奈川県の脳卒中専門病院のナース10年生です

    中村 つよしさんの歌を検索していたら、kazuさんのブログをみつけて思わず読みいってしまいました。

    確かにナースの中にはブログの内容の様な人が多いです

    私も同じナースとしてもっと人間を大事にケアをしたいと考えています。どうしてみんな自分の家族だったら大事にできるのに、入院している人となると物になってしまうのでしょう。
    私はこれから勉強して、周囲に影響力のある知識と技術と説得力を身につけて人間を看護できるナースを育てていきたいと思います

    そのためには他職種の方々とも連携が必要ですぜひ皆さんの様な医療者が多く存在することを祈っています

    突然おじゃましてしまいごめんなさい。

  17. kazz より:

    >感激!そしてごめんなさい (カエルナース)
    はじめまして!

    同じ10年目ですね!
    よろしくお願いいたします!
    m(_ _)m

    通りすがりのところを読みいっていただけるなんて嬉しい限りです!

    ホントに「なんで、こんな対応できるんだろうか?」と不思議に思うことも多々ありますよね!看護師さんだけじゃなくて、われわれ理学療法士も同じく、です。

    僕も、カエルナースさんに賛同です!

    自分が影響力を持つこと、そして後輩達の教育は重要ですね。
    若手達も、先輩の姿を見て行動すると思います。先輩が先輩としてピシッとしていれば、とんでもないことは減って行くと思います!

    また、職種連携も非常に重要だと思います。

    連携するには、お互いの専門性に対しての理解が必要だと思います。
    相手(他職種)が、何を行うべき人か、どんな強みを持っているかを理解した上で、「連携/チームワーク」が成り立つと考えています。
    他職種がそろえば「連携/チーム」が成り立つのではなくて、お互いが何をなす専門かを理解してこそ初めて「連携/チーム」が成り立つと思います。

    コメントありがとうございました!

    また、いらしてください!

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