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お邪魔します!

先日の学会。

時間的な都合で、汽車ではなくて自家用車での移動だった。

せっかくだから、患者さんのところにお見舞いにいくことにした。

患者さんのところと言っても、ウチの入院患者さんではなくって(ゴメンッ!)、"元"入院患者さんの転院先の病院!

義足のばぁちゃんの所に行くことにした!

とはいえど、その病院の場所がわからなかったので、ケアマネさんに電話して遠隔ナビゲートしてもらった!(Thanks !→ケアマネ)

無事、たどり着いたのだが、部屋とかって教えてもらえないよね・・・「個人情報保護法」のおかげで・・・

というわけなく、見事に案内してもらえた(笑)!
(しかも、身元を聞かれる事などなかった!ナイスだぜ!)

んで、ばぁちゃんの部屋に行くと・・・
目をまんまるにして驚いてね、涙をながされた!

で、あたりをキョロキョロしたかと思うと・・・残念そうに、手に持っていた3フサのみかんを僕に差し出してくれた!

おもいっきり食べかけなんだけどね・・・嬉しかったよ。

「まさか、私みたいなモノのところに来てくれるなんて・・・」

って、泣きながらとぎれとぎれに言われると、こっちまで涙が出るよ。
きっと、新しい病院で寂しかったんだろね。

転院されてそんなに経っていないんだけど、積もる話をいろいろと聞いた。
周りの入院患者さんが自分より歳だとか、セラピストが若いとか・・・

嬉しかったのは、転院前まで使用されていたティッシュ箱を今でも持っておられたことだ。
中身はなくなっていたけど、その箱にはぎっしりと文字が書かれてあった。

主治医、担当看護師、退院の日付、連絡先・・・僕の名前もある!
記憶にいささか問題のあるおばぁちゃんはこうして外部記憶に頼らざるを得ないことを知っておられた。

「思い出ですから・・・」

って、丁寧にたたんだ箱は照頭台の下の引き出しに大事にしまってあった。

そして
振るえる手でお茶まで入れてくれて、のんびり過ごした。

お別れの際に、泣きながら強く手を握ってくれた。

「先生も・・・お元気で。」

おばぁちゃんに限らず、患者さんは、いつもこう言ってくれる。

人生の先輩として、ご病気の立場として、その言葉は重い。

そして、伏し目にこう付け加えられた。

「また、手紙でも書いたらお渡しします」

・・・いささか記憶に問題のあるおばぁちゃんにとって、手紙は特別だ。

おばぁちゃんは、先ほどのティッシュ箱やメモ帳・・・至る所に自分の記憶を書き写す。
自分の脳ではそれを、もう保つことが出来なくなっている。

おばぁちゃんの手紙は、その記憶の断片なんだから。

ん?

「渡します」

・・・って、「また来てね」ってことか(笑)!

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参考

KAZZ BLOG「医学的な判断?」
KAZZ BLOG「続:医学的な判断?」

コメント

  1. まいける より:

    Unknown

    おぉ~なんだかすごく幸せな気分になりました!
    おばぁちゃんの痴呆(?)はけっこう進行しているのでしょうか?
    でも、ずっとkazzさんたちのことを覚えていようとしる姿勢に感動しました。
    kazzさん、また行かないとダメですよ!(笑)
    おばぁちゃんのためにも、報告を楽しみにしている読者のためにも!

  2. kazz より:

    >まいけるさん
    いらっしゃいませ!
    楽しみにしてくれているようでありがとうございます!
    また、行きます!

  3. Sot より:

    Unknown
    私も退院された方々の自宅や転院先に
    よく出かけます。
    だからkazzの気持ちがよくわかります。

    なんて偉そうなことはいえませんが、
    やっぱり退院されたらそれで
    おしまい・・・・・・・なんてことは
    心情的に出来ません。
    ちゃんと生活できているのでしょうか?
    私たちの想いは転院先に伝わっているのでしょうか?
    気になることはたくさんあります。

    そんなことを確かめるため、
    というわけではないのですが、
    やっぱり、患者さんの笑顔が見たいのです。
    患者さんとのお付き合いを続けたいわけです。
    いいことかどうかは判りませんが、
    亡くなられた患者さんの命日に
    お線香をあげに行ったりもしています。

    なんとなく、病院だけの付き合いという
    わけにはいかなかったりしています。
    患者さんには「先生」t

  4. Unknown より:

    Unknown
    私も退院された方々の自宅や転院先に
    よく出かけます。
    だからkazzの気持ちがよくわかります。

    なんて偉そうなことはいえませんが、
    やっぱり退院されたらそれで
    おしまい・・・・・・・なんてことは
    心情的に出来ません。
    ちゃんと生活できているのでしょうか?
    私たちの想いは転院先に伝わっているのでしょうか?
    気になることはたくさんあります。

    そんなことを確かめるため、
    というわけではないのですが、
    やっぱり、患者さんの笑顔が見たいのです。
    患者さんとのお付き合いを続けたいわけです。
    いいことかどうかは判りませんが、
    亡くなられた患者さんの命日に
    お線香をあげに行ったりもしています。

    なんとなく、病院だけの付き合いという
    わけにはいかなかったりしています。
    患者さんには「先生」と呼ばれますが、
    人生の先輩である患者さんに
    学ばせてもらっていることが多いですよね。
    kazzさんもその想いを
    これからも続けてくださいね。

  5. Sot より:

    Unknown
    私の操作ミスで
    中途半端なコメントが入ってしまいました。
    申し訳ありません。

    削除が出来たら、このコメントともに
    削除していただけたら
    助かります。

    お手数かけてすみません。

  6. kazz より:

    >Sotさん
    Sotさんこんにちは!
    (処理上、投稿者名がUnknownになっていますが)

    コメントありがとうございます!

    そうなんですよね・・・
    病院だけの付き合いって、微妙で・・・
    でも、悲しい事に、実際はそうなっていて、患者さんみんながみんなを覚えていることもできないのが現状であったりします。

    「医療」ってことを考えると、自分の分野だけの技術サービスを提供して、終わってしまう・・・てのは何とも寂しい感じがします。

    僕はまだ、患者さんのお線香をあげにいったことはないのですが、そういう、付き合いって大切だなぁと思います。

  7. cyama より:

    Unknown
    KAZZさん、有難う!同じ認知症の母をもつ者として、お礼を言いたくなりました。あれから、おばあさんの事が気になっていて、どうされているのかな、転院先でも、いい出会いがあればいいな、と思っていたので、ほんとに嬉しいです。報告を楽しみにしている読者の一人でした。あっ!でも、頑張りは、ほどほどに。(どっちやねん!・・・ですよね。)言ってることが、メチャメチャですね。ごめんなさい。

  8. kazz より:

    >cyamaさん
    こちらこそ毎度ありがとうございます!
    おばぁちゃんは、ほんと元気そうでした!

    これから、寒くなるので、(病院では暖房が効くと言えど)辛い季節になるだろうと思います!

    そう思うと心配~!

    僕も無理せずがんばりますね!

  9. 女医M より:

    嬉しくなります
    私も時々うかがいますよ。今一番遠方は大阪(これはちょっと訳あり)。先方の病院のセラピストの皆さんがすごく暖かく、前向きに関わってくれていてとても嬉しかった。直接話さないと、お手紙だけでは伝わらない想いがあるんですよね。いつも思うのは急性期に治療にあたった医師や看護師にもこんな機会をもたせてあげたいな~ということ。今はちょっと(?)余裕のない医療現場ですが、ここに書き込まれた皆さんのような気持がいつかこれを良い方向に向かわせてくれる気がします。とても暖かい気持です。

  10. kazz より:

    >女医Mさん
    いらしゃいませ!

    こういったちょっと(?)余裕のあることやっていきたいですよね~!

    にしても、わけありの大阪ってのも凄いですね!

    県外の患者さんもたまに受け持たせてもらいますが、さすがにお伺いしたことはありません。
    でも、旅行ついでに病院に来てくださってくれたことがあって、嬉しかったです!

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