雨ニモマケズ

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昨日は,松江に帰ってきたのが9時40分だった.

雨模様とはいえ,いつも通りの山陰の天候かと思っていた.
午前の段階では,道路に水がたまっていたものの,車が通れないほどではなかった.

しかし,16時では,道路の水かさがまして,アパートの駐車場から車を出すには車底を水に浸らせることとなる状態にまでなっていた.

アパートの駐車場は道路に面しているものの勾配がついていて,道路よりも少し高くなっている.
そのため,駐車場には水がたまらず,水は道路に流れ出すようになっている.

夕方に焼酎を飲んで快適に過ごしていたのもつかのま,駐車場にもどんどん水が押し寄せてきた.

「今回のは少し多いですね」

なんて近所の方と話をしたりした.
それでも危機感はなかったのだが・・・

19時

風呂に入ろうと思い準備をする.

ふと外を見ると,広い駐車場の大半が水に浸っているのが見えた.
この段階では車を動かして,駐車場の外に出ることは無理になっていた.

駐車場の勾配は,逆に僕とアパートの住人を孤立させる方向に働いていた.

それでも,水の押し寄せていないところへ車を移動さえさせておけば,大丈夫だとタカをくくっていた.

20時

一気に水かさが増してきた.

駐車場から歩いて出るには,大人の大腿部までが水につかる.
この時点で周囲から避難する意見が聞かれた.

車は完全に使い物にならないことが予想できた.運転席は水に浸っていた.

アパートの床上浸水は時間の問題だと感じた.

僕は米子の実家に電話をして,付近まで迎えにきてもらうことにした.
米子からこちらまでは1時間程度かかる筈なので,その間に身辺の準備と,精密機械(パソコンやビデオデッキ,アンプ)を高いところへと移動させることにした.

道路では水域が僕の股間のところまできている.
アパート隣人の子供たちを近くに避難させるためには,だっこをして100m以上歩く必要があった.

お互いに助け合い,荷物と子供たちを安全な場所に避難させた.

道路の浅いところでも膝から下が見えないので,うっかりと縁石や花壇の医師に引っかかることがあり危険を感じた.

この水かさでも,道路には道を急ぐ車が多数いた.
エンジンがストップしてしまい,数人で押されノロノロと移動している車もいた.

子供を抱えて歩いていて感じたのだが,車が通るたびに波に足を取られる状態となる.
車を運転する人も急いでいて,周囲が見えないだろう.配慮する様子は見られなかった.

車の移動が作り出す波が,あれほどのエネルギーを持っているとは知らなかった.

米子から松江に到着した家族も,交通規制のせいで,付近まで到達するには予想以上の時間を要した.

松江をでたのは22時半くらいだったろうか.

米子への道筋で,警察から電話がかかってきた.
車体の下半分大部分を水に浸らせた,車が悲鳴を上げているらしかった.

クラクションかなにかが鳴っているということだった.

・・・しかし,どうしようもない.

鍵は空けてあるので,全て警察の判断に任せたが,警察も勝手に車をイジることはしないらしい.

「現状の把握だけしておいて下さい」

ということだった.

米子に着いたのが23時半
再度,警察から連絡があり,事態に変化がないことから,止むなく車を開けさせていただくという了解確認だった.

事態は収まったらしい.何時か忘れたが,再度警察から報告があった.
車からはヒューズを外したらしい.

午前3時まで眠れなかった.

ただ,ぼんやりとネットサーフィンだ.(こんな大雨の中で)

「床上まで水は浸入したのだろうか?」
「車は廃車になるのだろうか?」
「泥棒が入らないだろうか?」
「何か,大切なものを忘れてはいないだろうか?」

ぼんやりと考えながら眠ることを忘れていた.

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6時前に目が覚める.
まだ少し雨がぱらついていることにウンザリした.

アパートの確認と米子で過ごすための身辺道具の確保に松江へ出かけた.

やはり交通規制がかかっていた.
警備の方に事情を説明をした.

「ここから先に,行っていいとか悪いとかいうことは私には言えません.それでも行かれるのなら,どうぞ」

なかなか,話の分かる警備員だ.

黒田町が水に浸っていた.
水には油が浮き,小さな波を立てていた.

既に「水都」という表現が皮肉にしかならなかった.

黒田町はもともと,田圃を埋め立てて,一見都会を呈している田舎町だ.
数ある,マンションアパートの浦にはやはり田圃が広がり,いまでは道と区別なく水に浸っている.

道路にもヒル(軟体の吸血動物)があふれている.
そんな中を数百メートル歩きながらアパートまで到達するのは気持ちが悪かった.

午前8時

写真の通りだ.
昨日の写真と比較すれば,事態を少しは分かってもらえるだろうか・・・

アパートは何とか浸水を免れたようだ.
荷物をまとめ,数百メートルのヒルのいる道のりを何往復もした...

脚がダルイ・・・

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米子に向かう車の中,国道431号を示す看板とおなじ青が,白い雲の切れ間から見えた.
あたりをしばらく囲む緑々とした森林からは,蝉が忙しなく鳴くのがきこえる.

同時に,前線は南下し雨も幾分軽快することを,ラジオが伝える.

昨日の夜,荷物と子供たちを抱えて波と戦ったのが嘘のように,スガスガしく日が射している.

そういえば,盛岡からの土産の中に,宮沢賢治のキーホルダーが入っていたっけ.

「雨ニモマケズ・・・」

の全文が刻まれていたキーホルダーだ.

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この記事へのコメント

  1. 大丈夫ですか
    すごい被害ですね。とてもお気の毒です。
    こっちはあれから雨がやんでなんとか溢れずに済みました。
    でもまだこれからも降りそうなので安心は出来ません。
    kazzさんも大変だとは思いますが、雨にも負けず、乗り切ってください。

  2. ありがとうございます!
    応援,ありがとうございます!
    引っ越し作業で全身筋肉痛になってしまいました.

    いまだに,アパートは水没地区内にあり,交通規制がひかれている状態です.
    今日も雨ですよね・・・
    なんとか,水も引いてくれれば良いのですが.

    これからも,全国各地で被害が出そうですね.

    この夏・・・何とか乗り切りましょう!

  3. 大変だね…
    なんだか凄い事になってるね。
    ニュースで見たけど駅前が川だったもんね。
    宮沢賢治を持ってこれるだけのユーモアがあるなら大丈夫か。
    気の利いたことが言えなくて申し訳ない。

  4. お見舞い申し上げます。
    生生しい被災記録を読ませてもらいました。
    今回の黒田の冠水は凄まじいですね。
    お見舞い申し上げます。
    また、雨が降ってきましたね・・・。
    これ以上の被害が出ないことを祈るのみです。

  5. どーも!
    >U1
    駅前もスゴかったみたいねー.
    職員のほとんどが大渋滞に巻き込まれて何十分も立ち往生したらしい.
    今では,水も引いて交通の面では幾分よくは鳴っているけど,これからの被害の穴埋めが大変そうだよ...

    >yetiさん
    ありがとうございます.
    黒田も何とか復帰できそうです.
    ただ,いまだに泥まみれであることや,既に大量の蝿が発生していることとか不安もあります...

    yetiさんも仕事大変だったと思います.
    お疲れさまでした.

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