今日は休暇だったのだけど、夕方から職場に行って来た。
毎月最終月曜日は、部門の勉強会となっているのだ。
通常出勤時に行うような仕事が無いので、いつもより早めに帰ることにした。
20時前に松江を出る列車。
米子駅で境線の列車に乗り換えた。
4人がけのボックス席が悠々と空いていたので、そこに一人で座った。
列車がトロトロと走り出して、ふと通路の向こう側を見ると、やはり4人がけボックス席に一人座ったおばあさんを見つけた。
頭からスカーフをかぶり、上品なおばあさんだった。
足元には小さなキャリヤーを置いておられた。
手元をみると、そのおばあさんは何やら作業をしておられた。
覗き見は良くないとは思いつつも、その手元でされているのは、おにぎりの袋を開けているところだと確認できた。
コンビニなどで売られているフィルムに包まれたおにぎりである。
が、
なかなか開かない。
おぼつかない手で、一生懸命「開ける」のところを引っ張っておられるのだが、指先が滑りどうもうまくいかないようだった。
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耳が聞こえるのかどうか分からないので、ジェスチャで、『開けましょうか?』とおばあさんの視界に入るようにした。
おばあさんは笑顔で、おにぎりを差し出してきた。
僕も年を重ねて良かったことは、こう言ったことに恥ずかしさをや決まりの悪さを感じなくなったことだ。
リハビリの職種でいることも、おじいさんおばあさんに触れる機会が多いといった点では良いのかも知れない。
あるいは、関係ないのかも知れないが・・・
おばあさんの前の席に腰掛けて、おにぎりのフィルムをはがしてあげた。
「ありがとぅ」と笑顔で言うおばあさんは、もう一つのおにぎりを僕に差し出してくれた。
「これ、お礼。」とゆっくりと言葉を添えられた上品さは微笑ましかった。
ニッコリと微笑むおばあさん
一度はイエイエと断ったけども、もう一度差し出された手には応じることにした。
僕はまた、通路を挟んだボックス席に戻り、少し離れた位置でおばあさんと一緒におにぎりを食べることにした。
一駅過ぎたところ、それまで無言で過ごしていたが、僕がおにぎりを頬張っていると、「どちらまで?」と聞かれた。
口腔内の米をこぼさぬように丁寧に「弓ケ浜駅です」と答えた。
「遠くなんですねぇ」というおばあさんの顔を見て、はじめて黄疸に気がついた。
しばらくした駅で、おばあさんは立ち上がり、僕に会釈して、もう一度お礼をいい出て行かれた。
キャリヤーをもっておられるので、出口で少し手間取っておられたが、手伝いにいくには余計な感じだった。
また、列車はトロトロと走り出した。
こんな寒いのに、おばあさんも大変だな。
と窓の外を眺めていると
そこに、ホームからこちらを見ているおばあさんの姿が見えた。
しっかりと直立し、車内を見ておられる。
おばあさんは、僕と視線が合うと、2度ほどお辞儀をしされた。
瞬時、その礼節に、ぼくはあっけにとられた。
「しまった」と思い、僕もお辞儀をしたが、組んでいた足を解くのは間に合わなかった。
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ホントに品のある方だった。
人生の先輩というのか『日本人、かくのごとくあれ』と感じた。
「正しさ」のようなものも感じた。
後になって無造作に食べてしまったことを悔やんだが、非常にありがたおにぎりだった。
コメント
Unknown
>megukoさん