(ライブ会場…ステージにて)
今日はどうもありがとう
次の曲、ラスト
あ〜・・・
この曲、みんな知っていると思うけど・・・
僕が歌う前に
この曲のオリジナルって知ってる?
プロトタイプは大昔にレコーディングされていたんだ・・・
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※ここから男女ふたりの心情吐露の交差
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☆ わたしあなたに夢を追いかけて欲しいの
★ この夢が叶ったら…
☆ あなたの夢がわたしの夢
でも、そのために・・・わたし行かなくちゃ
★ 今まで鳴かず飛ばずだったけど、やっとチャンスを掴めそうな気がするんだ
☆ うん。応援しているよ
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☆ 初めてあなたを見たのは、あの雪の降る夜
★ 初めてキミをみたのは、いつだっただろうか?・・・ずっと知っていた気がする。
☆ 雪が降り始めていたけど、あなた一生懸命・・・路上で歌っていた
★ キミがちょっと遠くから・・・不思議そうに僕をみていたのに気がついたんだ
☆ わたしは缶コーヒーで手を温めながら、友達を待っていたの
★ キミの白い吐息が、降ってくる雪に溶け込むのが見えて、僕は、ギターを弾く手を止めてしまったんだ
☆ 音がとまって、目があったの
★ なんだか時間が止まったように思えた
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★ それから、僕は毎日君を探すようになった。
★ 歌うために路上に出ていたのだけど、それはいつしか手段になっていたんだ。
☆ あなたを街で見つけた時は嬉しかった。
☆ 決まった時間にやっているわけじゃなかったから、なかなか見つけられなくて
★ いつも同じ時間に歌っていたんだけど、不思議だよね・・・サラリーマンが嫌だと思っていたのに、毎日がサラリーマンよりも繰り返しになっているようだった。
★ でも、僕は君に出会うために、いろいろな時間で、場所で、歌うようになった
☆ ねぇ、あの時、あなたはわたしを避けていたの?
☆ 邪魔に思われていたのかな?
★ 遠くに君を見つけた時は、声が届くように大きな声で歌ったんだよ
☆ あなたはとても一生懸命に歌っていたわ。歌がすべてだと思った
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☆ 話しかけることができなかったから、ギターケースに手紙を入れたの
★ すぐにあの子からの手紙だとわかった。
★ 付き合い始めた僕たちは言葉よりも歌でつながっていた気がする。
☆ あなたの曲が好きよ。ずっと聴いていたい。
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★ 僕の夢は、キミに最高の歌を聞いてもらうことになった。だから、大きくなステージに立つんだ。
☆ あなたの夢は素敵な歌を歌うこと。わたしの夢はあなたの夢が叶うこと。
★ でも、僕にはその力が、まだ、ない
☆ でも、どうしたらあなたの夢が叶うのかしら?
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☆ あなたの夢を叶えるために、いろいろ探してみた
★ 君のために、来る日も来る日も歌い続けた
☆ 友達の友達の友達の知り合い・・・音楽プロデューサーがいて、あなたのテープを渡しにに行ったの
★ やっと手に入れたチャンス。キミのために歌いたいんだ
☆ わたしが話を持って行ったこと内緒にしておけば、ラジオで流してくれるって約束してくれたの。それと…
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★ この世界が厳しいことはよくわかっていた
☆ 音楽業界って、大変なのね。あたしビックリしちゃった。でも、頑張るっ
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★ やっといい話が来たんだ
☆ でも、わたしがあなたと離れることが条件だったわ
★ これで、キミのために書いた曲を大勢の人に聴いてもらえることができるんだって・・・そう思ってた
☆ ごめんなさい・・・でもあなたの夢がわたしの夢なの
★ ねぇ、なんでキミは、いなくなってしまったの?
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★ 家中ひっくり返して、キミの痕跡を探したよ。でも、そのせいでオリジナルのテープもどこかに無くしてしまった
☆ あなたとの唯一の思い出として小さなテープをカバンに入れて家を出たの
★ テープをなくして、2番がどうしても思い出せなかった
☆ あなたの大切な曲はコッソリと何度も何度も聴いたわ
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★ キミがいなくなってからすぐ、僕の曲は不完全のままラジオを駆け巡ったんだ。『キミに届け』って思ったんだけど…
これが僕の夢、だったのか?
届けるのは歌じゃない
いや、届けるんじゃない、行くんだ…
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☆ あなたのあの必死な顔、久々に見たわ
何かを思い出したの。
そう、あの街で、クリスマスの日に歌っていた時の、あの顔だった
真っ直ぐ
遠くを見て
嬉しかったわ
あなたの夢…
私の夢…
両方ともダメだったけど
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※ここで男女ふたりの話終わって、
ステージに戻る
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オリジナルのない曲は、1番のみラジオで繰り返し流されることとなった。
ラジオから広がったその曲は、2番以降がないことで、かえってみんなの想像を掻き立て、広がっていった。
もともとの歌い手が姿を消したことで
オリジナルのない歌は
さらにみんなの心に伝わったんだと思う
そこには色々な歌詞が足され、
今では男女の儚さを歌う曲の
代名詞のようになっている
僕が歌うのは、その曲のオリジナル…
小さい時に母からカセットテープをもらったんだ。
最初にそれを見たとき、
音楽が流れるものだって
わからなかったんだけどね。
父さんの声が聞こえた時は
ビックリしたよ…
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