僕は職場(急性期病院)のクリニカルパス委員会に所属している。
今回、誤嚥性肺炎のクリニカルパスにあたっての討議がなされた。
高齢者の増える中、誤嚥性肺炎の治療を積極的に効果的・効率的に進めることは非常に大切なことだ。
誤嚥性肺炎とは、食物や唾液が、食道ではなく気管に入り込み、おまけに抵抗力が弱ってしまった状態で、肺炎にまで至ってしまう状態。
筋力低下(オーラルフレイル)や麻痺の影響により嚥下の力が弱っている場合や胃内から食物が逆流し気管に入り込むこともある(胃食道逆流)。
高齢者では肺炎で死に至ることは多い。
日本の死因第3位は肺炎(肺炎による死亡者の95%は65歳以上)だ
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人口10万人あたり死因別の死亡率(平成24)
1位 悪性新生物 28.7%
2位 心疾患 15.8%
3位 肺炎 9.9%
4位 脳血管疾患 9.7%
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で、今回提示された誤嚥性肺炎クリニカルパスについては、いくらか議論の余地があると感じた。
なかでも気になってのは、以下の点・・・
・入院後、原則「絶食」となっていること
・PT(理学療法士)、ST(言語聴覚士)介入はあるけど、OT(作業療法士)介入がないこと。
絶食の根拠はなんだろうか?
ことあるごとに指摘しているんだけど(※)。
もちろん、嚥下に問題のあるとわかっている方に、また無理に食事を進めるのは間違いだろう。
けども、経腸栄養は持続すべきだろう。肺炎が問題なのであって、胃腸は問題ではないのだから。
食事形態を検討して経口摂取を進めるとか、経管栄養(経鼻胃管や胃瘻)を検討してもいいかもしれない。
やはり、不必要な絶食管理は避けるべきだと思う。
そのためにも、STを配置し介入できる体制を整えることが大切だろう。
OTの介入も大切だと思う。
誤嚥性肺炎の原因として、食べる環境や食べ方、その方の注意機能の把握が必要だ。そういうところにOTは力を発揮できるのではないだろうか?
人手不足?
とにかく、全力で誤嚥性肺炎から患者さんを復活させる努力が必要だと思う。
議論を重ねたい。
参考
KAZZ BLOG『誤嚥性肺炎患者のルーチン化された絶食』(2016年02月10日)
KAZZ BLOG『見込みがあるぞ』(2009年10月13日)
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