夏、スイカ

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将来への不安をうすうすながらに感じていた高校時代・・・夏。

僕は卓球部部室でウダウダしていた。

同じく、部室に住う大山の片田舎出身の部長は、ボソリとつぶやいた。

「おれ、農業大学行こうと思う。」

耳にうるさく触る蝉の声に負けて、背を壁にもたれながら聞いていた。

その時は、よくわからなかった。
大学に行って農業なんか学ばなくても、畑に出てじいさんに学べばいいのに・・・なんて思っていた。
あるいは、進学校ゆえ、どこか大学に行かなければ体裁が悪いから、比較的入学しやすい農業大学を選択したのかと思った。

・・・そういう僕こそ、将来なんか見るつもりのない浮遊した高校生だったのだが。

彼は誇らしげに言った。

「大学に行って、四角いスイカをつくる。」

今日のニュースで、

『冷蔵庫に入れやすい! 四角いスイカ初出荷 高松』

という記事が出ていた。

まさか、彼が達成した仕事ではないと思うが、あれから14年か・・・

丸が四角になる間に、僕も彼もどのように変わったのだろうか?
実体は変わらずとも、外見や機能を変えた「ボク達」は自立の三十を有にこえている。

スイカ出荷のニュースに、あの蒸し暑い夏を思い出した。
薄汚れた部室で、白いシャツの襟をあけてアイスをかじりながら過ごした高校の最後の夏だ。

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この記事へのコメント

  1. Unknown
    高松、ということは、彼ではない?昔、夢物語と思われていた事が、次々現実になっています。出来る事なら、彼に、四角いスイカ第1号を、作らせてあげたかったですね。

  2. >cyamaさん
    こんにちは!

    いま、彼はどうしているんだろうか・・・(笑)!
    ついぞ、連絡が途絶えてしまって消息が掴めません。

    そもそも、農業大学に行ったのだろうか?
    ・・・と思ってしまいます(笑)!

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