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禁止事項

半身の自由を失った患者さん。

脳卒中が患者さんを襲った。

生活に介助が必用になってしまった身体の回復を願いつつ、日々の練習(リハビリ)に取り組んでおられる。

とても前向きな患者さんで、ご自身でどのような練習をしたら回復につながるかを、あれこれと考えて実践されている。

そして、なんとか機能を少しずつ取り戻して、一人で起き上がってすわれるようになり、食事も一人で可能になった。
歩くこともなかなか上手になってきた。

ある時・・・

ベッドの下に落ちたものを拾おうと思った瞬間
患者さんはベッドの下に転落してしまった。

片側の足は踏ん張りが利かない。
また
片側の手はバランスをとることも何かにしがみつくこともできないのだ。

不幸中の幸いで、大きなけがはなかったものの、患者さんは

『さて、どうしたものか・・・』

と思い、どうにかベッドの上に這い戻る手段を考えて、あの手この手を尽くしていた。

そこに看護師さんが通りかかった・・・

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この最初に通りかかった年配の看護師が何をしたかというと・・・

ひどく患者さんを怒りつけたらしい!

「なんでそんなコトするの~?!!」
「危ないでしょ~!」
「いったいどうしたの~!!」

で、その報告を受けた看護師さんが、安否確認をされたらしい・・・





オイッ!最初の看護師ぃっ!
なんで、ここで怒る必要があったワケ?

怒ることで何か事態が好転するワケかい?

ベッドから転落するというコトは患者さんにとっては大きなミスでショッキングなことだ!

『また誰かの手を煩わせてしまう』

とか、

『この体さえ・・・』

とか思って悩んでいるワケさ!

そういった人の失敗を怒鳴りつけて、「勝手に○○するな」的に指示するなんて、患者さんを傷つけるだけじゃないかっ!

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やはり、しっかりと説教すべき患者さんは、確かにいる!
そういう患者さんは確信犯的に隠れてルール違反をする類だ。

でも、この患者さんの場合は別だろう!

しかも、医療者ってだけで何様?

患者さんは

「ほんとに悪いことしてしまいました・・・」

って言っておられたけど、こちらこそスミマセンなのだ・・・

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患者さんたちには禁止事項が多い。
一人で立ったらダメ、散歩に行ったらダメ、かといって、寝ていてはダメ、トイレは看護師を呼ばなければダメ・・・とか。

生活上で禁止事項が多いことは想像しただけでもストレスだ。

病気だから仕方ないのかもしれない。
けれども、そんなところを少しは理解していく努力をしないと、患者さんたちをよりよい方向へ導けない気がする。

コメント

  1. Unknown より:

    Unknown

    そうね。わたしにもあるわ。60才くらいの体格のいい男性で、脳出血で右痺もあり巧くしゃべれなかったけど笑顔がいい人でね、そのいいおじさんがある日ベッド下に「ドッテ-ん!」と転がり落ちてて。
    みたらリモコンが床に落ちてた。これを取ろうとしたみたいだ。
    おじさんは柔道などもたしなみ、軽く受け身的な転落の仕方だったが、私はそれをまず上手回しを取り左下肢を立たせた後はもう有無を言わさぬ上手なげっっっ!で、転落転倒事故報告をしなかった(=_=)以後気をつけるように、と言うと、おじさん堪えたらしい。
    その後は気をつけることをみにつけて生活され、多少のプッシャーも気にならなくなりオゲンキになられ在宅に帰られました。
    私は少しのミスは見逃す派です。大きなミスにつながりそうなものもありますが、笑ってすまされそうなものはその人の栄養になると思うのです。

  2. kazz より:

    >unknownさん
    体験談ありがとうございます。

    みごとな上手投げに感心されたんでしょうね!

    患者さんも、介助を受けて「あの看護師さんは上手だよ」とか言われることがあります。

    ただの嫌な体験にならずに、「栄養」になることが必要ですね!
    勉強になります!

  3. megu より:

    Unknown
    それはかわいそうでしたね。
    そのような場面、病棟ではよく見かけますね。
    確かに患者さんの安全を守るためについ禁止事項を押し付けがちですよね。私はできるだけ具体的に、危険である場面と理由を説明して納得してもらえるように心がけていますが・・・。理解力が乏しかったり、時々予想もつかない行動をされる方もいるので、それだけでは防ぎきれないのが現状です。
    患者さんを怒鳴りつけることに関しては・・・。これまたかわいそうですね・・・。ますますストレスが増えそうですね。
    最近思うのですが、子供を育てるときにも、「そこで遊んではだめ」「それに触ったらだめ」「これを食べなきゃだめ」などと“ダメ”を連発する親がいます。これじゃ子供がひねくれそうな気がします。
    子供と患者さんは違うかもしれませんが、やはり“ダメ”よりも“OK”を、“怒る”よりも“褒める”をもうちょっと強調してあげたほうが、良い方向に導けるのではないかと思います。

  4. kazz より:

    >meguさん
    そうですよね!

    人間ですから、なんとく感情が先走りしてしまいますが、プロとして患者さんに接するときは特に気をつけなければいけないと思っています!

    僕も気をつけたいと思います!
    (後輩にダメ出しばかりなので(笑)!)

  5. 女医M より:

    相互理解か・・・
    転倒・転落事故の現場を見かけたときにはできるだけ静かに駆けつけ声をかけます。
    「大丈夫ですか?」の言葉にも「悪い事した~」という思いから「どこも痛くないです~」と取り繕ったり、実際は打った場所を隠す方もいらっしゃいますから難しいです。
    (だから怒ったりしないで欲しいよ~)
    できるだけ自分で動作をいれていただきながら「安否確認」を行います。
    状況によっては「こちらの配慮が行き届かず申し訳ないことをいたしました」と謝る事もあります。
    殆どの方は興奮(中には逆上)状態だから難しいですよね。

    夜間当直していて「転倒です」って診察依頼を受けることもあります。夜の病棟は危険が一杯です、人もあまり居ません。
    だから「事故を起こさないで!」って祈るような気持ちのナースの立場もわかります。
    (でも「怒る」のは筋違いだね)

    ご本人の状況や希望、リハビリ医療上の立場、病棟管理…それぞれでのメリット、デメリットを出し合って納得できる形にもってゆけたら良いですね。

    因みに在宅で起きた転倒事故を後で聞いたとき。
    「上手な転び方」と床を這ったり立ち上がったりの「転倒後の動作練習」をリハメニューに入れるのは忘れません(笑)

    以前「リスク管理」の講習を受けたときにこういった多角的なアプローチの仕方とか具体的なチェック表なども知り、とても役に立ちました。
    リハ職の方からの歩みより(って言うのかな?)はまだまだ沢山あるようにも思います。

    今度私の考えてる方法聞いてください。
    うちのセラピストには不評なんだな~これが…
    (今年もどうかよろしくお願いします)

  6. kazz より:

    >女医Mさん
    いろいろとありがとうございます!

    いいですね~!こんな感じで病棟を進めることができたら!
    やはりスタッフ間でも、話し合って、転倒に対してどう取り組むかを他職種で話し合うってのもいいかもしれませんね!

    「上手な転び方」って必用ですよね!
    セラピストの中には、「いかにコケないか」「”正しい”立ち方/歩き方」だけを重点に進める人もいます。しかし、それだとかえって、ガチガチに身を縮め込ませてかえって転倒しやすい身体にしてしまうこともありますね。
    とはいっても僕自身「上手な転び方」「転倒後の動作練習」は十分に指導できているとは言えませんので・・・挑戦してみたいと思います!
    なんだか、「とっさの一言」みたいな・・・備えとして必要ですね~!

    そして・・・
    とても気になります!
    今度、そのセラピストに不評な方法論を教えてください(笑)!

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