脳生理講習会

今日は
古巣「大山リハビリテーション病院」で

■脳生理講習会

があった．
（テーマ：『前頭葉における運動行動の制御』）

講師は日本福祉大学大学院情報・経営開発研究科教授の久保田競（クボタキソウ）先生だ．

日本での脳科学研究の第一人者で，世界の人である．

ボバース記念病院での研究も行なわれており，リハビリテーションにおいても多大な貢献をされている先生だ．

講義は基礎（言葉の定義）から始められた．
最近の脳科学研究の論文を紹介しながら，現在考えられる能の中の出来事を説明された．

脳科学は，ようするに「わからないことだらけ」の学問だが，そこが面白いし，難しいところでもあると思う．
患者さんの治療においても，この科学の発見が無ければ前進が出来ないこともある．（逆に臨床の発見も科学を前進させるのだが）

兎に角，難解！
そんな脳科学，とりわけ前頭葉機能についての解説を分かりやすくしていただけた講習会だった．

でも・・・
兎に角，難解（笑）！

宿題を山ほどかかえた！

久保田先生からは重要な論文を，非常に簡易に解説されたレビューにまとめられていた．
そのレビューは凄い！
内容を20～50文字以内程度にまとめてあるので，何をしたのかがはっきりと分かる！簡潔！
でも，その論文を語るには，全て読まなきゃね（頑張ります・・・）．

同時に，用語の説明していただけた．それを通して「どんな研究だったのか」「どんな意義があったのか」を提示していただけた．用語のレベルで錯乱や勘違いがあると，論文の意を誤ってとらえてしまうかもしれない（いや，きっと誤るのだろう・・・）

また，歴史上の重要な発見を示していただいた点もおもしろかった．
たとえば，
古い時代（1881）にMunkが予見したことがある．
脳が損傷した場合，機能的な回復が見られる．例えば，視覚野を損傷しても，時間が経つと，ある程度見えるようになる．
脳の特定部位の損傷後，それに取って代わって別の脳部位が機能を助けるのではないか？
Munkはそれを「restitution："補償"，"償い"の意」と呼んだ．
脳科学の発展してくると，これは（vicariation：代行作用）として，確認されている（1996,Nudo）．
（↑ちょっと違っていたら申し訳ありません・・・書き直します．．．）

そんな，チョット昔では確認されていなくて，予見的に言われていたこと・・・それが，現代の知識や環境，設備や科学技術をもって確認されたりなんかしているのだ．
・・・予見した本人さんたちに「貴方の予見していたことが確認されましたよ～」教えてあげたいよね！

また，脳科学の発展により分かった事実を考慮して「セラピストが行なわなければならないこと」や，「臨床から提示していかなければならないこと」がある・・・そんなメッセージを頂けたと思う．気は抜いて入られない・・・

まだまだ，脳科学研究の分野でも分からないことが山ほどあるそうだ．
久保田先生ほどの方でも，「それはまだ分かっていません」「確認できていないんです」を連発されていたのだから・・・
これから，発展していく素地が山ほどあるのかと思うと，臨床も楽しい．

これは，今回の久保田先生の講義内容ではないのだけど↓
脳の可塑性・・・については，検証がされてきている．
それらは，大脳皮質に損傷を起こしてその機能回復をみるというもの．
しかし，臨床で実際に損傷を起こしているのは，皮質下のシステムであることが多い（基底核や視床・・・）．
この辺りの損傷に対する機能の可塑性については研究は行なわれていない（多分・・・）
皮質下のレベルに損傷を起こし，機能分布を確認するという技術がまだ追いついていないとのことだったと思うが・・・
（以上，ひとりごと終わり）

さて，今日は，「前頭葉機能と運動行動」について，非常に気になる内容を講義していただけた．

最近は，生理学・解剖学に対して懐疑的になることもあったが，知識なくしては考察も批判もできないのだから，また勉強し直そうと思った．
臨床上のアプローチに科学的な裏付けが出来ること，そしてそれによりアプローチを発展させていけること．
それがすべて，患者さんの回復や幸福につながっていくこと！

さぁ，出発！
（て，明日も休暇だが・・・）

それにしても，大山リハビリテーション病院の周囲は美しい．
見上げれば大山！見下ろせば弓ケ浜半島が一望できる！
特に今日は午後からスカァッ！と空が晴れていて，空気の透明度も増していたと思う！
大山がくっきりと目前にせまっているのは絶景！
※ちなみに，「美しい」と感じるものを見た時にはブロードマンの10野（前頭極：脳の一番前の部分）が働くらしい．