記憶のはっきりしないおばあさんが入院されている。
加齢によるものではなくて、病気による影響が強いと思われる。
毎日を看護師さんに確認して今日の日付を知る。
それどころか、午前と午後とが違う日付になっていることも多い。
病室に入ると、若手の看護師さんを呼び止めて話しかけておられた。
背をかがめておばあさんの話を聞こうとする看護師さん。
『今日が何の日だかわかる?』というおばあさんの質問に、いつものように『12月8日ですよ』と答えるのだが、看護師さんはそれが何の日だか分かっていない。
おばあさんが『大東亜戦争の始まった日・・・』と付け加えてもなお、看護師さんは要領を得ない表情をしている。
日本という国は、ここまで記憶をなくしてしまっているのだと、そう感じざるを得なかった。
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