すこし、遅めの情報になるけども・・・
とても良い論文なので紹介させてもらう。
医学雑誌
■治療
Vol.92, No.2(2010年2月号)
治療 2010年 02月号 [雑誌]南山堂このアイテムの詳細を見る |
この2月号は「不定愁訴に立ち向かう」という特集。
その総論のなかに、菊地臣一先生(福島県立医科大学整形外科/理事長兼学長)の論文が載っている。
タイトルは
『慢性腰痛は不定愁訴?ー腰痛のEBMを追求するとNBMになるー』
手に入る方は、是非!
一読二読三読をお勧めする。
ここまで優しさに満ちた論文はないのではないだろうか?
そして、新しい知見満載だ。
てか、新しい知見の紹介を目的とされている。
この論文に紹介されている論文のタイトルを読むだけでも勉強になると思う。
(↑よい子のみんなはちゃんと読もうね!)
なんでもかんでも新しい知見が素晴らしいかと言えば、そうではないのは確かだ。
しかし、それにしても、『腰痛』といえば、世間(理学療法など)においては前世紀の、根拠の薄い情報が、さも当然のように流布されている。
""これぞ腰痛治療""みたいな理学療法本を手にとってみると、引用文献のほとんどが、手前味噌の前世紀に書かれたものだったりすることも珍しくない。
何故だか分からないが、理学療法の世界においては(・・・あるいは、理学療法の世界に限らず、一般に)『腰痛』といえば『二足直立歩行を獲得した人間の宿命』といったデマ情報が相も変わらず垂れ流されているのが現状だ。
この『二足直立~』というフレーズは、もはや『間違い』と言っても過言ではない。
にもかかわらず!
にもかかわらず、そういった情報が、「専門家」の間で堂々と語り継がれているのが不思議でならない。
で、最近では、やっとこさ「腰痛は生物学的損傷から"生物・社会・心理的疼痛症候群"へ」という文章が(しぶしぶ?)入れられるようになったものの、その意味を理解できていないことが多い。
結局、姿勢の問題、動作の問題、筋力の問題、変形・・・へと腰痛の原因を関連づけて、アプローチと言えば、動作指導や筋力強化訓練、体操、徒手療法となっている。
まったくの間違いではないかもしれないが、それは一部だと思う。
良くなる人は良くなるし、良くならない人は良くならない。
ちょっとした「良くなった例」をとりあげて、「治療効果あり」のように宣伝しているものもある。
結局「腰痛=生物学的損傷」からぬけ出せていないのだ。
もう一度言う!
先の論文を読むことをお勧めする。
最近の「腰痛」では、何がささやかれているかを知ることができる。
そして
医療者としての姿勢・心構えを知ることができる。
・・・と、さも知ったかのように訴えてはみたものの、
僕はと言うと、この論文に挙げられている参考文献を、これから読んでみようと思っているところだ。
本当に読むことをお勧めする。
医療者ならば、項目を見ただけでも心を引かれると思う。
↓
■腰痛に対する新たな概念
■慢性腰痛に対する新たな視点
■受診目的の明確化ーその重要性ー
■医療従事者の役割の変化ー"cure"から"care"へー
■医療従事者の対応が治療成績や満足度向上の鍵
■患者と医師との信頼関係確立のためのアート
■プラセボ効果の活用
■時間的推移による病態の変化
『医療現場で、最も望ましい医療の形はEBMとNBMの統合である。その手法は対話を通じて、患者の個人的・社会的背景を評価し、それに応じた配慮を伴う医療の実践である。EBMでは先人達の知恵を借りることができるが、その前後の診療行為は医療従事者と患者という当事者だけの世界である。この部分には数値化できない領域や問題があり、それは言葉でしか表せない。ここにNBMが必要である。したがってEBMとNBMが両立して初めて充実した医療が提供できるといえる。』
(*´∀`*)モエー
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参考
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コメント
早速・・・・・・。
この日記を読んで早速、amazonでクリック♪
勉強しなきゃいけませんね。
kazzさんの日記を読みながらいつも、
胸の痛い思いをしていましたが、
行動に移さねばなりません。
まずはこのジャーナルを読み、
孫引きしていくことから始めたいと思います。
>早速・・・・・・。
>Sotさん
・・・あ、貸したのに(笑)!
文献もオンラインで手に入るものはコピーも入手しましたよ!