先週の土日は大阪で心臓リハビリテーション学会が開催され、参加してきた。
学会会場では、毎度ながら書店が沢山の本を並べていた。
学会に関連した本はもちろん、分野を問わず本がさまざま並べられていて、こういうのをながめるだけでも、勉強になる気がする。
医学書はやはり高額になることが多いので、衝動買いはかなり危険な目にあう。
そう思いつつ買わないように心がけながら、陳列された本をながめていた。
ふと、棚に2冊ほど並べられていた本に目が止まった。
■「脇役」たちがつないだ震災医療
ドキュメント・東日本大震災 「脇役」たちがつないだ震災医療 | |
クリエーター情報なし | |
医薬経済社 |
出版の日をみると、
2011年6月30日初版発行
比較的新しい。
タイトルに『「脇役」たち』、とあるのが気にかかった。
「脇役」という言葉に侮蔑や見下しの意味が無いことは、このカギカッコの存在ですぐに分かった。
「縁の下の力持ち」という意味で使われているんだろうなと。
4月7~11日
僕は、赤十字職員として被災地に向かった。
被災後しばらく経っても僕の専門領域である理学療法士の活動が有効な形で目に見えてこないのに、いらだちの気持ちもあった。
僕は「理学療法士」としてではなくて「主事」というかたちで、半ば無理を聞いていただく形で災害救護活動に参加させてもらった。
そうでもしないと、被災地に入る機会を失うと、そう思っていた。
それは、今現在の理学療法士「協会」の動きや広報を見ても、なんら変わりがない。
個人でボランティアとして入っておられる理学療法士は多数おられるようだが、「協会」という団体のチカラが被災地のリハビリテーションを積極的に進めているかというと、そうではないように思える。
----------------
本のページをめくって確認したいことがあった。
それは、
『「脇役」たち』の中に理学療法士が入っているのか?ということだ。
いや、「入っていないだろう」という予想の元に、「もしかして入っていたら驚きだ」などと思っていた。
結果、
目次にもなかったし、中にも見つけることができなかった。
やはり
・・・というのか、この本の主題とは離れているからという理由もあるかもしれない。
しかし、そうやって流し読み(立ち読み)をして、この本に非常に興味を持った。
震災直後の看護師や、薬剤師、卸(おろし)の方達の活動がそれぞれの視点で記者から見たドキュメンタリーという形で記載されていた。
ちょうど僕が被災地に行ったその前の状態が、記録されていたのだ。
僕は、7人のチームで被災地へ向かったが、そのことがまた思い起こされた。
5日間の活動。
決して忘れていたわけではないが、日を追うごとにリアリティを失いつつあったのは確かだ。
それが、この本の文字がまた引き戻してくれるのを感じたのだ。
本を購入し、学会中の空き時間と帰りのバスで一気に読み進めた。
個人の力も必要で、それを最大限に有効にするような団体の力も必要だと感じた。
そして、そういった活動がきわめて利他的に行われていたのだ。
いまになっても、まだ思う。
理学療法士がもっと尽力することで、予防できる障害や被害は、たくさんあるのではないか?
たくさんあったのではないか?
僕には、リハビリ関連団体の初期の動きが「待機」であったように思えてならない。
団体の力を発揮する時ではなかっただろうか?
この本の書かれていることを参考にできることは多くあると思う。
それが、看護師や、薬剤師、卸(おろし)の方達の活動であたとしてもだ。
災害は予告してはこないのだから、いま、この瞬間にどれだけ準備や心構えができているかが大切だと思う。
なかば嫉妬や無念を感じつつも、よい示唆を与えてくれる本だと感じながら最後のページを閉じた。
コメント
リハ支援
リハビリテーションの支援に行ってきての一番の感想は、継続できる状況、体制を確立しなければならないということです。救急医療への援助では最初の1週間2週間に大量投入でOKですが、リハはもっと長い期間継続的に関与する体制をきちんと整備しないといけないと思います。
そのためにもっとも重要なものがその支援をコントロールし、コーディネートする人間。これが欠落している中で動いても誰も幸せになれないのです。リハ関連団体戦略会議の議事録(なぜかそんなモノも持っている)を読んでみても、その地域性やその後の継続性も含め、余所者が入っていって何をするのが本当に良いのか深く悩んでいます。
ただ、一つ言えることはあの地域に「リハビリテーション」は絶対必要だということ。だからもう一度行かせてー!!
re:リハ支援
>某Dr
コメント&感想ありがとうございます!
そうですよね。
多くの方がリハビリテーションを必要としていると思うんです。
リハビリテーションといっても、分野は広いと思います。
また、地区より様態は大変違っていると思います。
必要なことができているのか、これから何をすべきか、何が求められているのか、求められていなくても提案できることはないか・・・現地の方、現地に入り見聞きした方からリアルに今必要なことをする必要がありますね。
>だからもう一度行かせてー!!
そう感じている人は多いと思います。僕もですが・・・。