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新しい赦しの国

理学療法/病院

先日録画してあったNHKの番組を見た。

4月21日
多田富雄さん(免疫学者)は亡くなられた。

放送されたNHKスペシャルは2005年に制作された番組の再放送で、今回は追悼としての意味があると思う。

そして、やはりなお、多田富雄さんは番組を見る人に、多くの指南を与えておられる。

NHKスペシャル「脳梗塞(こうそく)からの“再生” ~免疫学者・多田富雄の闘い~」

多田富雄さんは2001年5月、旅先の金沢で脳梗塞に倒れ、右半身麻痺と仮性球麻痺の後遺症で構音障害(音声を発する機能の障害)嚥下(えんげ)障害となられた。

その後も精力的に執筆活動などを続けられていた。

リハビリ関連の人間には以下のことで、特になじみの深い方だ。
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2006年4月から厚生労働省が導入した「リハビリ日数期限」制度につき自らの境遇もふまえて「リハビリ患者を見捨てて寝たきりにする制度であり、平和な社会の否定である」と激しく批判し、反対運動を行っていた。2007年12月には『わたしのリハビリ闘争 最弱者の生存権は守られたか』(青土社)を刊行した。
(wikipedia「多田富雄」より)
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番組終末にあたって、ゲストの演出家笠井賢一さんが詩を朗読された。
多田富雄さんの「新しい赦しの国」である。

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「新しい赦しの国」

帰ってきた老人は
棘のある針槐(はりえんじゅ)の幹にもたれ
髭だらけの口を開いた
無意味に唇を動かし
海鳥の声で
預言者の言葉を呟いた
 
海は逆立つ波に泡立ち
舟は海に垂直に吸い込まれた
おれは八尋もある海蛇に飲み込まれ
腸の中で七度生まれ変わり
一夜のうちにその一生を過ごした
 
吐き出されたときは声を失い
叫んでも声が出なかった
おれは飢えても
食らうことができない
水を飲んでも
ただ噎(む)せるばかりだ
乾燥した舌を動かし
語ろうとした言葉は
自分でも分からなかった
おれは新しい言語で喋っていたのだ
杖にすがって歩き廻ったが
まるで見知らぬ土地だった
 
真昼というのに
満天に星が輝いていた
懐かしい既視感が広がった
そこは新しい赦(ゆる)しの国だった
おれが求めていたのはこの土地なのだ
おれは新しい言語で
新しい土地のことを語ろう
昔赦せなかったことを
百万遍でも赦そう
老いを得て病を得たものには
その意味が分かるだろう
 
未来は過去の映った鏡だ
過去とは未来の記憶に過ぎない
そしてこの宇宙とは
おれが引き当てた運命なのだ
 
「歌占―多田富雄全詩集」(2002年)より 
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多田富雄さんの言葉の数々はこれからも、人々の心にのこり、語り継がれていくと思う。

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参考

NHKスペシャル「脳梗塞(こうそく)からの“再生” ~免疫学者・多田富雄の闘い~」
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