見当

「理学療法士さん達ってイイナって思います」

と言ってきたのは、整形外科病棟の新米看護師さん。

僕も、自分の職業（＝理学療法士）には誇りも持っているし、毎日楽しんで業務にあたっている！

「やっぱりそうでしょ～！でもなんで？」

看護師さんだって、やりがいのある仕事だろうから、聞き返したのだ。

新人看護師さんはこう答えた・・・

「看護師もいいけど・・・患者さんに一対一でゆっくりと接してあげることができなくて・・・」

なるほど～！
たしかに、僕らセラピストは患者さんとは一対一で数十分の時間を過ごしている！

カワイソー新人看護師さん！
忙しい業務のなかで、そんなコトを感じていたのか～！

でか、そういう疑問点を感じているところが新人ナースっぽい！

こういう新人ナースの純粋な感覚も、年を取ると（＝経験を積むと）鈍麻してくる例もある。

先日、
リハビリ病棟の患者さんのことで看護師さん依頼したことがある。

「日めくりカレンダーで、毎朝日付を確認するようにしてください。」

というもの。

患者さんは見当識（けんとうしき）の障害をもっておられた。

「見当識障害」についてざっくり説明すると
人はだれでも自分の周囲の環境に見当をつけて生きている。
「今日は何日だ」とか「ここは何処だ」とか「あれは誰だ」とか・・・そういう世界と自分の環境に見当をつける能力に問題が出てくるのが見当識障害だ。
（しっかり知りたい人は、きちんと調べてね）

さて、この見当識の障害を克服していくためにも、日付（今日が何日で、どういった日か）を繰り返し確認するプログラムを組みたかった。

看護師さん（ある程度の経験者だ）が答えたのは、

「そういわれても、なかなか忙しくてできません」

みたいな返答だった。

僕は、「忙しい」と返答する方については、それ以上突っ込まないことにしている。

「患者さんには必要なことですが、スタッフができないんだったら、無理は言いません。」

と、看護師さんには言っておいた。

んが、
心の中は・・・

はたして、日付を確認する時間がないほど「忙しい」のかね？
時間を確認するのに要する時間は２０秒程度なんだけど・・・
それを「忙しい」といって、できないのか・・・
なんか、他に方法を考えられないのかい？

いろんな疑問（煩悩）がわく。
（の、反面、確かに看護師さん達が忙しいと言いたい状況もあるんだろうと・・・）

が、「忙しい」というのだから仕方あるまい。どうぞご自由に・・・とグッとこらえた。

ん～
こんな時、あの新人看護師さんだったらどう対応してくれるんだろうな・・・
きっと一生懸命やってくれるんだろな・・・
なんて思いつつ・・・

精神的に成長しなきゃならんな・・・