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波打ち際で

一生懸命,貝殻を拾っているようなもんだ.

引いていく波にさらわれた貝殻をながめつつ

「ああ・・・いっちゃった」

って,後悔ともなんともつかないような溜息をつく.

一つ一つの経験や時間の流れ,出会いや別れ.

手元に残るものもあるし,波にさらわれていくのをおぼろげながら思い出すのもある.
忘れたものも数えきれない程あるだろうし,いつまでも悔しくて忘れられないものもある.

ただ,見上げると,海はあまりにも宏大で・・・
波の活動は僕の活動なんかよりも遥か昔から,膨大な時間をかけて続いているんだ.
おそらく,波はこれからもそうやって時間を刻んでいくんだろう.

拾うべき貝殻を僕に提供しつつ,あるいは僕の目の前から取り去りつつも,同時に波は幾千もの僕を体験している.

遥か天上から,宇宙からみれば,ほんの一点のちっぽけな活動なのだけど.

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