7月の読了は17冊。
うち、電子書籍(Kindle)本は1冊。
新刊の小説が面白かったな。
花村萬月『ロック・オブ・モーゼス』はバンド小説。雰囲気は漫画BECKの様相もあるけども、音楽に対する考察と悲哀の奥深さが心にしみた。住野よる『君の膵臓をたべたい』は、デビュー作とは思えない小説っで衝撃だった。ほのかな恋愛の雰囲気にくすぐられながら読んだのだけども、読後も深い影響を残すような小説。藤岡陽子『晴れたらいいね』は従軍看護師の話なのだけども、現代の視点と当時(大東亜戦争期)の価値観を交差させ、看護や医療、生きることの価値を考えさせる良い小説だった。角野栄子『トンネルの森 1945』については、角野栄子が戦争を描いたらどうなるか興味をもって手に取ったのだけども、戦争のリアルを描きながらファンタジーの要素を匂わせたもので、作品に入りこみながら読むことができた。この時期にしばしば発刊されるような安易な反戦本ではないと感じた。ちなみに、この新刊4冊はジャケット(装幀)はついつい手にとりたくなるような素敵なものだった。
文庫では、安道やすみち『婚活刑事』のシリーズ3冊を読んだ。いまドラマ化されているのだけども、主人公の名前は米子(よねこ)で鳥取県出身。もちろん鳥取県の米子(よなご)を意識したものであることは間違いなく、鳥取の方言をしゃべる主人公が少しくさいながらも親近感の湧くシリーズだ。作者が鳥取県出身ということで手に取ったのだけども、刑事もの小説として楽しめた。森博嗣は『夢・出逢い・魔性』『恋恋蓮歩の演習』を読んだ。森博嗣の描くミステリーは固体としても楽しめるし、シリーズを通しても楽しめるので、読後も色々と他作品との関連を探すのが楽しい。森博嗣の新刊では、もうシリーズ化となっているエッセイの最新刊『本質を見通す100の講義』もでた。これもナマの森博嗣の価値に触れることのできる楽しい本。
新書としてはあまり新しいものを読まなかった。永井均『ウィトゲンシュタイン入門』はウィトゲンシュタインの変態ぶりを感じたにとどまった。竹内一郎『人は見た目が9割』
は以前から気になっていたけどもやっと手にした。ノンバーバルコミュニケーションのライトタッチな解説。伊達友美『夜中にラーメンを食べても太らない技術』については、僕の実践を解説している本かと思いきや、怪しい科学除法も含んでいるので、あんまり参考にしないほうがいいかもしれない栄養本だと捉えている。保阪正康『物語 大学医学部』は物語ではない(笑)。近代の医学部の状況解説で、主に医学部に入る前の受験時代の闇のシステムやメンタリティにも触れられている。村田幸生『近藤理論に嵌まった日本人へ 医者の言い分』は、アンチ近藤誠、アンチ石飛幸三の本。だけども、論理的な反論がやはり弱く、近藤誠の本のインパクトは上回れないというのがわかる(と言って近藤誠理論を僕が推奨しているわけではなく、あくまでインパクトの問題)。玄侑宗久『医師と僧侶が語る 死と闘わない生き方』は、医師と僧侶がすべき仕事に一考をあたえる書だけども、やはり、答えのない世界の話なので・・・。村田幸生『「スーパー名医」が医療を壊す』は医者の持つ不満ややるせなさを解説してくれている。医師を応援したくなる。
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