Categories: 理学療法/病院

ノルマって考え方やめません? | リハビリ単位はノルマか?

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ノルマ

18単位/日 ノルマ?
21単位/日 ノルマ?

ちまたでは、セラピストの仕事において、さまざまなノルマが設定されているようだ。
(で、悩みのタネになっている)

そもそも
われわれセラピストが、患者さんになんらかの手当て(介入)をすると、それが診療報酬という形で評価されて、病院に収益が入る。
20分が1単位として計算される。

診療内容により1単位は180だったり245だったりする。
この診療報酬の点数に10円をかけた額が収益になる。

つまり、われわれセラピストの仕事は20分で1800円〜2450円だったりする。

そこで、自分の給料分を稼ぐことができなければ、そこの施設は赤字になる・・・という計算で、先のノルマというものが課せられたりするのである。

「ノルマ」という考え方について、僕は二つの点で賛成しかねる。

  • 今の時代、収益は出来高計算(単位数)で計算できない
  • 単位取得は、目的ではなく、患者サービスの結果である。

以下、詳しく説明したい。
※ちなみに、急性期病院を想定して話を展開しているが、他の分野でも基本的には違わないだろう。

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損益分岐点はどこか?

施設(病院)が得た診療報酬(売上)から、かけた費用(経費)を引けば、利益が現れる。
なので、売り上げを上げて、経費を下げれば利益が増える。

ノルマは、この売り上げを増やすための(あるいは落とさないため)の仕組みだ。
また、経費を落とすことも課題となる。

けども、これは単純に診療点数とセラピストの給料で計算できるものではない。
経費にはさまざまある。

  • 設備費
  • 電気光熱費
  • リハビリ科医師の給料
  • 事務員の給料
  • 税金

などなど、組織としてはこういったものにも支出しなければならない。
リハビリテーション科の医師が単独であげる利益は少ないか、ほぼないことも考慮に入れなければならない。
そして、セラピストにとってベテランでも新人でも、単位時間の利益は一緒だ。こういったことも考えなければならない。

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単位取得は「目的」ではなく、患者サービスの結果である。

セラピストは単位(収益)のために患者さんを診るのではなく、診療の結果として収益が発生するという考え方をした方が良いのではないか?
「単位」の考え方は、

どれだけの時間、患者さんに接していたか、治療にあたっていたか

という結果として考えると良いと思う。

そもそも、取得単位に10円をかけて、それをリハビリ科の収益として計算する時代は終わっていると思う。

何故ならば、現在の医療システムにおいては、成績が評価されているから。

つまり、簡単に言えば

余計な医療費を投じないこと

が評価される。

主疾患以外のことに対する診療行為は「余計な医療費」とみなされ、評価されなくなっているのだ。

これはどういうことか?
例えば、骨折の治療で入院された患者さんに対して病院に支払われるのは骨折治療に対してのみだ。
わかるかな?
その患者さんが、褥瘡を発生させてしまったり、肺炎を発生させてしまったりしたら、その分の医療費は自前で用意しなければならない。(包括支払い制度では、主疾患に対する治療によって得られる利益があらかじめ定められているからだ)

また、
良い治療は評価される。

よくない治療というのは・・・

  • 本来不要だと思われる薬の使用
  • 本来不要な治療介入
  • 本来不要な合併症
  • 本来不要な長期の入院期間

こういったもの

つまり、現在の医療システムでは、

早く元気になって早く退院することができれば、それが評価される。

早く退院させるといっても、
不十分な状態で退院させてしまった場合、患者さんは再入院してしまう可能性がある。
そういう場合に病院が投じた医療サービスは低く見積もられる。つまり儲けが少ない。

早期退院できるような医療を行った場合、その病院の評価が上がり、その病院の診療行為の特殊な係数がかけられる。
単価が上がるのだ。

なので、最近では患者さんを無意味に入院させベッドを占有させるようなことはしない。
昔であれば、ホテル代と同様に宿泊分の収益が得られたのだが、現在ではむしろ収益が下がることにつながる。
無意味な医療を行っている場合、良好な係数が見込めず、その病院の単価が下がるからだ。

薄利多売(はくりたばい)という言葉をご存知だろうか?
安いものをたくさん売って利益を得る状態のことだが、漫然とした医療は

薄利少売
となる。少ない診療単価の患者さんを数少なく診療している状態。
これはつまり、地域医療において、その病院のニーズがないということだ。
なので、ベッドが空くよりは患者さんを入院させておくという病院は、ダウンサイジング(病床削減)の対象となるので、ノホホンとしておるなよということになる。
いいことがない。

逆に、無駄のない治療をおこない、早期退院させた場合は厚利多売となる(そんな言葉、あるのか?)。
患者単価が高い上にベッドが開くので、そこに新規の患者さんを入院させることができるからだ(入院初期の診療単価は高く設定されている)。

先ほどと逆で、そういったことをする病院は地域のニーズが高いという具合に評価される。

さて、冗長になってしまったが、何が言いたいのかというと、
セラピストの収益は単位のみで評価されるものではない。
その病院に入院している患者さんが良好な状態で退院できれば、病院トータルの収入は増える。

例えば、セラピストを病棟配置し、単位という(20分刻みの)仕事をしなくても、

  • 褥瘡予防しまくる
  • 廃用症候群を予防しまくる
  • 誤嚥性肺炎を予防しまくる
  • 退院調整をしまくる

こういうことで、病院全体の収益が上がる。

そう!
m9( ゚Д゚) ドーン!

  • 病棟配置とかして、成績をあげればいいではないか!
  • カンファレンスして必要なリハ介入についてみんなで考えればいいではないか?
  • 患者さんの生活環境を聞き取りして退院に備えればいいではないか?
  • 退院後の介護保険サービス担当者と打ち合わせして、スムースな退院をめざせばいいではないか?

つまり、セラピストの技量が問われる。
配置にしただけ、あるいはカンファレンスを漫然と開催しただけ・・・だと損だろう。

このことを考えなくてはならない。

つまり、20分刻みの単位の仕事をガムシャラにしていても、

  • 褥瘡
  • 誤嚥性肺炎
  • 院調整の不備による入院長期化

などさせていたら、病院の収益は落ちてしまうのだ。

セラピストの仕事は治療以外にも仕事はさまざまある。
記録、カンファレンス・・・・これらは金額として評価されない。

・・・いや、標準的にキチンと行なっていることが必須なので、これらを行うことは診療の大前提となるものだ。

話を元に戻そう。
単位」はマンツーマンで理学療法なり作業療法なりを行った結果として得られる診療行為に対する評価だ。
けども、そこに収益の目標をおいてはならない。

病院トータルで「その患者をいかに効率的によくしたか?」によって病院は評価され収益が得られる。

自分の取得単位を見るとき
「これだけ儲けている」と考えてはならない。
単純に「マンツーマンでそれだけの時間、患者さんの治療にあたったのだ。」と考えるべきだと思う。

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まとめ

  • リハビリ科という単科での収益計算は無駄
  • 病院として、その患者さんの治療成績を上げることが収益につながる
  • 取得単位は目的ではなく結果
  • 単位取得のみを目的にしていては、リハビリ課の診療報酬は増えても、病院全体としての診療報酬は減るかも

なので、
自課の取得単位のみを計算して、「収益が減った」というリハビリ科のリーダーがいたとしたら、考えが不十分であるか、言葉が足らないかだ。

勤務時間を20分で割ってそれをノルマに設定しているようなリーダーは、もう少し医療全体のあり方・病院の総合力に目を向けるべきだと思う。その上でノルマを設定していたら安定のリーダーだろう。

 

kazz blog「病棟でのリハビリテーション」(2017年7月15日)

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kazz

足川 和隆 理学療法士18年生! 毎日、始発で出勤、最終で帰宅の米子~松江の通勤をしています! Gooblogから引越しをしてこちらにきました。 今まで応援してくださった皆様、これからもよろしくお願いいたします! 新規の方も、どうぞお楽しみください!コメント・フォローはお気軽にどうぞ!

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