専門学校に通っていた頃
やんちゃな先生がおられた。
その先生の授業はとても面白くて、
僕がしっかりと勉強できたかはわからないけども、この世界に対する興味を深めてくれた先生だ。
ちょっとした毒舌も素敵だった。
その先生は
その毒舌でもって、(いわゆる)キビシイ先生のことをこう評されていた。
自分らだって、はじめの頃は鼻水垂らしとったくせにっ!
この言葉は今でも僕の頭に響いている。
学校を卒業してプロになって
年数が経つと、それなりの経験値を積み、後輩も増える。
学生もくる。
「こんなこともできないのか」
「なんでやらないんだろう」
「感覚がおかしい」
・・・などと、思うことはない。
そうだ
自分だって、『はじめの頃は鼻水垂らしながら働いとったクセ』なんだ
と思い出す。
誰にだってはじめはある。
それぞれにそれぞれの始まり方があるだろう。
鼻水も十人十色
そんな十人十色の鼻水を見ながら思い出す。
そうだな
あの先生
初心忘るべからず
って言いたかったんだな(笑)
これは
世阿弥(ぜあみ)の言葉だ
まさか、世阿弥は「鼻水垂らしとったくせに」とは思わなかったんだろうけどもな。