先日、
介助法の講習会講師として呼ばれた。
今まで、看護師さんや介護職向けに、施設や団体を通して講習会をしたことがある。
今回は珍しく
臨床検査技師さん向け
以前にも1回ほどしたことがあるけども、珍しい依頼だ。
島根県の臨床検査技師さんの教育プログラムに組み込まれた講習の一つだったと思う。
ボディメカニクスというのは、
骨格、筋肉、内臓などを中心とした身体の働きのメカニズム
のことで、介護・医療分野でのボディ・メカニクスでは
力学原理を利用し、最小の労力で介護する技術
ということに着眼したものになる。
例えば、基礎的なこととしては
など
真面目にやれば、ちょっと退屈な内容なので、身の回りの事象を通してお伝えするようにした。
実践ではこういうことに気をつけながら指導を行う。
力学原理を利用し、最小の労力で介護するためだ
(のちに述べるが、腰痛予防のためではない)
近年においては、介助・介護における腰痛の問題が取り上げられる。
ここにも触れておかなければならない。
古い考え方だと
『こういう動作は、腰に負担をかけて、腰痛を誘発します』
みたいな指導の仕方がある。
正しいものの持ち上げ方、とか・・・
そういうのが当然のようになされてきた。
けども、近年の研究によってそういう指導法は推奨されていない。
・・・そんな動作指導をすると、かえって腰痛を誘発しかねないからだ
プラセボ効果というのは偽薬効果と言われて、思い込みなどよって、本来効果のないはずの薬(小麦粉とか)が症状などを緩和させてしまう効果を持つことをいう。
その逆
ノーシーボ効果(ノセボ効果ともいう:思い込みにより副作用や有害効果を発生させてしまうもの)について考えなければならない。
『こうすると腰痛になりますよ~』
みたいな指導が、かえって腰部に注意を向かせ、腰痛を誘発しやすくなるのだ。
自己暗示・・・
考えてみるとそうだ
こうすると腰が痛くなると呪文のように唱え、常に腰のことを心配しながら生活することで、かえって「あ!やっぱり痛い!ダメだ!」みたいな習慣を作ってしまう。
また、心的負担(ストレス)が腰痛を誘発・増悪させるということも言われている。
腰には物理的負荷のみではなく、心的負荷への配慮が必要
けどもそこの理学療法士!
m9( ゚Д゚) ビシッ!
ついつい、「こうすると腰痛になりますよ」的な指導をしちゃうよね。
逆効果でありんす。
日本の腰痛診療ガイドラインでも、以下のように指摘されている。
姿勢やボディメカニクスの指導
職場では、腰痛予防のために姿勢指導や正しい動作の教育などが一般的に行われている。
しかし、この効果に関するエビデンスは少ない。重量物挙上に従事する労働者に対して、如何にして腰に負担のかからないように持ち上げるかを指導したり(ボディメカニクスの指導)、持ち上げ機械の適切な使用法を指導することは、腰痛発症の予防に有効であると明らかにした論文はない。また、同様の指導が、腰痛後の身体障害予防に有効であると明らかにした報告もない。
動作によって、腰に負担がかかるのは当然のことだ、また、ボディメカニクスについて指導するのは良いことだと思う。
しかし、それは腰痛を予防するためではなくて、
動作を安楽にするため
指導すべきは、むしろ
『それでも腰は大丈夫』
『恐れず動きましょう』
ということなのではないだろうか?
腰痛に関する参考図書は
また、医療に関してはゴミ情報に溢れるネットだが、この長谷川 淳史先生の情報は、非常に信頼性が高く有益だと思うので、チェックされたし↓
さて
介助法指導の醍醐味は何といっても実技指導・実技練習!
特に、今回は臨床検査技師さんたち
ふだん身体の使い方や扱い方について馴染んでおられないだろうから、僕ら理学療法士が当然のように知っていることや、行なっていることでも、かなり新鮮に響くようだった。
何って、
面白い!
キャーキャー言いながら学べる。
そして「できた!」「ほんとだ!」っていう身体の不思議
受講者の反応を見ると、そういったものを感じてもらえたのではないかと思う。
この、身体の不思議
僕が理学療法を学んでからずっと感じているものだ。
kazz blog「腰痛」関連の記事
kazz blog「介助法指導」関連の記事