CPR(cardiopulmonary resuscitation):心肺蘇生法。
最近は、人工呼吸よりも胸部圧迫重視となってきた。
とにかく絶え間ない胸部圧迫だ。
JRC(日本版)ガイドライン2010でも、
「心停止と判断した場合、救助者は気道確保や人工呼吸より先に胸部圧迫から心肺蘇生(CPR)を開始する」となっている。
一部条件付きなものの、とにかく胸部圧迫が優先なのだ。
最近のCPR系の論文でも、
従来法(=人工呼吸+胸部圧迫)よりも、胸部圧迫単独のCPRの方が成績が良いという内容が多かった。
そもそも、人工呼吸(マウス・トゥ・マウス)は抵抗がある。生理的な問題や、感染の可能性、そして吐瀉物のある場合なんかは、とくに引いてしまうだろう。
気道確保やその他の手順なども、緊急時にはオロオロしてしまて有効には行えず、タジタジになってしまう。
そんならば、すぐさま胸部圧迫でもしておいた方がいい。
しかも、その方が成績がいい。
と・・・そういった流れだ(たぶん)。
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本日、病院図書館にBMJの2月5日号が入ってきた。
目に留まった記事は
『Chest compression or conventional CPR after out of hospital cardiac arrest?』
この記事は以下の論文を受けてのものだ。
■Outcomes of chest compression only CPR versus conventional CPR conducted by lay people in patients with out of hospital cardiopulmonary arrest witnessed by bystanders: nationwide population based observational study.
(※BMJフルテキスト)
実は、この論文は日本でのもの。
簡単に言えば、胸部圧迫単独のCPRよりも従来法(=人工呼吸+胸部圧迫)の方が、「1ヵ月生存率」「好ましい神経学的予後での1ヵ月生存率」がともに有意に優れていたとのこと。
・・・最近の発表の流れとは逆のものだ。
最近は胸部圧迫が強調されてきているが、やはり人工呼吸の重要性も見直さなければならないかもしれない。
この研究は2005年1月~2007年12月までの院外心肺停止患者4万35例が対象(胸部圧迫単独群:2万707例、人工呼吸+胸部圧迫群:1万9,328例)という大規模(nationwide)なもの。
この論文で従来法がよりよい結果をもたらしたとされているが、そのなかでも特に、心肺蘇生の遅れた若い患者(特に、心臓由来でない20歳以下の患者)と心臓由来の心停止でも9~10分以上遅れて心肺蘇生を行った場合とのこと。
BMJの記事にもあるが、とにかく、市民がCPRを行えることが第一だ。
そうしていく中で、より良い方法を根拠を持って行えていけたらば、今後どんどん結果は良くなるだろう。
生き残ること、なるべく後遺症を残さないこと。
そういったことに向けてさらに研究が進められていくだろう。
なによりも、
日本人の論文であったことと、いままでの流れからすこし変わったところで、目にとまった論文だった(アブストラクトしかみていないけど)。
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BMJ:Outcomes of chest compression only CPR versus conventional CPR conducted by lay people in patients with out of hospital cardiopulmonary arrest witnessed by bystanders: nationwide population based observational study.