高校時代のこと。
『だから「Tがまたホラ吹いた」って言われるんだ。
皆さんも信用しないでくださいよ。』
ワシャワシャ笑いながら、「ほら吹き」と言われる自分を、自慢げに自虐的に言って生徒を笑わすT先生がいた。
T先生はアル中の古典の先生だった。
白髪白髭のヨボヨボしたおじいさんだったが、冗談は欠かさず、凡庸以下を気取ることの得意な先生だった。
少し賢い生徒の方が、まともな答案用紙を欠けるのではないかというくらい・・・そんな雰囲気の先生だった。
けども嫌われている訳ではなくて、若い化学の先生なぞからは慕われているように見えた。
『毎朝、T先生と話すと
臭いんですね。
それはアセトアルデヒド臭いですよ。アルコールを分解した臭いです。』
母校の印はロゴス(理論)とパトス(情熱)の柏葉だ。
エトス(品性)の葉はどこへやら・・・T先生が持っていたのか?
T先生は教師には向いていないと思っていたのは僕だけではなかったはずだ。
人にものを教えるのに、酔っぱらっているし、間違えるし。
これじゃ進学校どころの話しではないのだから。
けども、最近になって思う。
『だから「Tがまたホラ吹いた」って言われるんだ。
皆さんも信用しないでくださいよ。』
ここまで本当に
大人のことを
社会のことを
教えてくれた先生はいなかったんじゃなかったかって。
ここまで本当に、
モノゴトを語ってくれる先生はいなかったんじゃないかって。
あれから、もう20年近くだから、
アル中のT先生ももう死んでしまっているか、ヨボヨボもいいところだと思う。
あの頃が懐かしいよ。
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いたね~
変わってる・・・と思ってたけど
確かに化学の先生はいつも楽しそうにネタにしてた(笑)
先生はみんなそれぞれ勉強以外にも
いろんな事を教えてくれた・・・はず。
いま、どうされていることやら・・・
re:いたね~
>ま~さん
懐かしいよね!
化学の先生も、もういい歳かもしれないし・・・
てか、高校卒業して、何年経つんだっけ・・・
15年っ?!
Σ(  ̄□ ̄;)