『ねぇ、どこにもいかないで・・・』
別れ際に、悲しい顔をしてこう言われる認知症のあるおばあちゃん。
残念なことに大腿の骨折もされていて、僕はそのリハビリで、毎日お伺いする。
毎日、出会うたびに、笑顔で
『アラ!おおはよう。来てくれたの?』
と、言われるが、僕が誰だか、これからどこに行くのか忘れておられる。
そもそも、「おはよう」も間違っていたりする。
それで、お別れの時は、
もう二度と合えなくなるような悲しい表情で『ねぇ、どこにもいかないで・・・』とされるので、こちらも寂しくなる。
毎日毎日・・・
でも
いつかは合えなくなる。
ここは急性期病院だから・・・
おばあちゃんの話し方、時間はゆったりり流れているように感じるけど、僕との残された時間は長くは無い。
だから、精一杯する必要がある。
今出来る限りのことを、しっかりとする必要がある。
毎日おばあちゃんの寝癖頭にクシをあてる時に、そう思って祈っている。
今出来ることを、いまする。
セラピストとして。
また、
こういう形でおばあちゃんの人生に関わった「僕」という個人として。