根源的な欲望
一つは「生」へ向かうもの.
生きようとする力.
リビドー
もう一つは「死」へ向かうもの.
自己の消失への力.
タナトス
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カート・コバーンに捧げられた映画
を観た.
カート・コバーンは90年代に「グランジ」という音楽ジャンルを確立し,音楽界のカリスマになった.
名声を得て,結婚をし,娘をもうけながらも27歳にして自宅のバスルームで自殺をする.
ショットガンを口にくわえて.
「LAST DAYS」は,カート・コバーンに捧げられた映画だ.
カート・コバーンが過ごしたであろう最後の2日間について,推測のもと作成されたビデオだ.
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カート・コバーンを題材にするということで,ロックファンは必見だろう.
だがしかし・・・
この映画の評価は低い.
おそらく理由は
・死へ向かう2日間でのストーリーが「無い」と言ってよいほど淡々と時間が過ぎる.
・ドラマチックさが無い.
・死の描写があまりにもあっけない.
・カート・コバーンそのものを描いている訳ではない(主役は「ブレイク」という人物)
・作品が観客の主観に委(ユダ)ねられている所が大きい
・・・こういったところだと思う.
「評価が低い」と書いたが,つまりは「つまらない」という意見が多い.
しかし,僕はこの映画は良いと思う.
人の(しかもロックのカリスマの)死をとらえようが,
いちいちそれがドラマチックであったり感動を生む必要な無いと思う.
その自殺が壮絶である必要も無い.
プロデューサーのダニーウルフの言葉
「追いつめられて隠れたアーティストを描いている.彼は逃げ道を探している.仕事のプレッシャーや,薬物中毒の治療から逃げようとしている.家族とも引き離されてね・・・壊れかけた人間の物語だ.」
そして淡々と過ぎていく中での,精神的なリアリティーが描かれている点では,僕たちの・・・自分自身の問題として「リビドー」と「タナトス」の天秤が揺さぶられるメッセージが隠れているのだと思う.
そもそも,映画は主観で良いと思う.
これは,カート・コバーンに捧げた物語であると同時に,僕たちに向けられたものだと思う.
だから,映画中に説明に当たるもの(言葉や音楽)はほとんどない.
(このため「つまらない」という評価がなされるのかもしれない)
ありがちな,「今,泣く場面ですよ~」って観客にあからさまに訴えている作品も良いけど,この作品のように「どう見る?」って任せられているのもいいもんだ.
映画作成者がカート・コバーンに向けて,「こうだったんだろ?」
って,想像しながら(実はかなり練られているらしい)作られたのがよくわかる.
で,ニルヴァーナのCDをまた久々に聞いてみようかなと・・・
(↑影響されやすいです!)
ちなみに7月にはカート・コバーン(本人)のドキュメンタリー映画が公開されるらしい!
必見ですな!
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Unknown
お久しぶりです☆
ミュージックマガジンだったかな、前にその映画の記事が載ってて、図書館で思わず手に取って熱心に読んだことあるのを思い出しました。
実はニルウ゛ァーナってたぶんちゃんと聴いたことはないんだけど、カート・コバーンの壮絶な生きざまと死には何故だかとても心掴まれるところがあって、メディアでとりあげてるの目にするとついつい時間も忘れて読んじゃってます。
成功者ゆえの孤独とか、追い詰められて何処にも行き場のない感じとか、想像しかできないわけだけども、それでも胸が締め付けられますね。
今はあんまり余裕ないけど、いつか必ず観たいです!
re:お久しぶりです☆
カート・コバーンは左利きなのですが,映画では(文字は左手で書いていますが)ギターは右で弾いていました.
予告映像だったのですが,その時点でなんだかなえてしまいました・・・
「カートコバーンは左利きなんだからよ~!!」
で,その話をスタジオでしたら,「あの映画つまらない」って話を聞いて,ネットでみても「つまらない」意見が多い・・・
となると,観たくなるのが心情です(笑)!!
で,観てみたらば・・・
一緒にスタジオにいたドラマーが
「つまらなかったけど,でも,死ぬ前ってあんなもんかもな」
って言っておられたのが,そのまま感じ取る事が出来ました.
起承転結のストーリーは無く,観た人をそのまま引込むような映画でした.
あんまし引込まれると危険かな・・・
追伸:
更新まっています!