今日は大山リハビリテーション病院で研修。
明日は神経生理学者をお招きしての脳生理講習会だけど、今日はその座長を務められる林克樹先生(誠愛リハビリテーション病院/副院長/ボバース国勢インストラクター/作業療法士)のプレセミナーが催された。
テーマは「ADL(Activities of Daily Living:日常生活活動(動作))」
講演かと思ってたら、明日も講演ということで、急遽、実技になった。
さて、
「ADLに対して、まずに着手することは何ですか?とりあえず3つ挙げてください。」
(ただし、寝返り・起き上がりは除く)
・・・ということで、グループ(×10)に分かれて討議。
さまざまなグループでほぼ共通して挙がったのは
「食事」「排泄」
ちなみに、僕のグループは異端(?)で
「コミュニケーション」「食事(摂食・嚥下)」「座位」
という項目を挙げさせてもらった。
(10グループが3つずつ項目を挙げたのだが、コミュニケーションはわが班が挙げたのみで、他には見られなかったが・・・これってそんなもん?)
そして、そのADLから必要な基本的な動作を下位項目を挙げた。
林先生がADLの下位項目として取り上げたのは・・・
移動するときに必ず必要になる
■靴の着脱
だった。
ちなみに、「靴の着脱」はどこの班も挙げてなくて、うちの班においては話題には出ていたが、3項目の中にはありえないよね!という感じで切り捨てられた項目だった(爆)!
(うちの病院=急性期でも初期に「靴の着脱」に着手するセラピストは少ないか、いないと思う)
とはいえど、「靴の着脱」には思い入れがる。
僕の担当患者さん(脳卒中で左半身が麻痺のおじさん)がリハビリ目的で県外の病院へ転院されたことがあった。
しかし、おじさんは転院後にすぐウチに戻ってこられた。
理由の発端は「靴の着脱」だった。
他の入院患者さんの「靴の着脱方法」が全員一緒で、その方法が座って靴の踵を蹴とばしていたらしい。
リハビリの専門家でなくてもわかると思うが、靴の踵を蹴とばして靴を脱いだら、次履く時に苦労する(蹴飛ばされた靴は遠くにあったり裏返ったりしているからだ)。
そして、おじさんが行っていた靴の着脱方法(僕が指導したのだけど・・・)は、座ってバランスを保って脚を組んでの着脱だった。
転院先のセラピストがおじさんの靴の着脱方法を見て「その方法いいね」って他の患者さんにも指導し始めたらしい。
なにそれ
(・_・)?
そんな状態に不信感を抱いて、うちの病院に戻ってこられた。
(ちなみに、こういった理由でリハビリ病院から急性期病院に戻ってこられることは非常にまれだと思う。)
また、うちの病院では回復が期待されていたのに、あちらでは『もうよくならない』と説明されたり、脳卒中片麻痺患者は全員三角巾で腕を吊っていた(そして、患者さんもそれをするように指導された)・・・ということも、その病院に対する不信感の原因になったとのこと。
良い方法で靴が履けるということは、靴を履いて、食事やトイレなど、どこかに行くということにつながる。
「靴の着脱」は患者さんの世界の広がりにかかわることだ。
病院においては、起き上がったり歩けたりができても、自分で靴を履けなければ一人でどこかへ行くことができない。
(裸足で行く方法もあったとしても、気持ちのいいことではなだろう・・・)
そういう思いで、「靴が履ける」ということに対するアプローチにかかわることが重要なんだな・・・