理学療法士の資格を取った今も楽しいけど・・・
学生のころも楽しかった。
何か問題を抱える方に対して、自分がアプローチできる!
簡単にはいかないけども、勉強すれば良い結果が期待できる!
そもそも、学生には「臨床経験」と言うものがないので、文献の中から知恵を引き出し勝負するしかなかった!
特に、解剖学や生理学から運動学というものを勉強したらば、アプローチのコツみたいなものが見えてくるようになってきたのはおもしろかった!
(あくまで学生のレベルで・・・)
文献をさぐればいろいろヒントがあったし、病気/病態にもある程度のパターンがあるので、それを勉強して患者さんに挑戦する事が楽しかった。
・・・
■臨床実習
実際に患者さんを担当させてもらい、自分の考えたアプローチをおこなう。
もちろん指導者のもとで・・・
僕の受け持った患者さんは、筋力低下で困っている人だった。
高齢で、進行性の筋力低下を起こす病気だった。
学生の僕は「評価」項目にあわせ、どこの筋肉が衰えているかを検査した。
そして、どうやったらその筋力が回復するのか・・・いろいろとプログラムを考えた。
考えたプログラムを患者さんにやってもらい、数週/数日後にまた、筋力の検査をする。
そして!そして!
みごとに、筋力がアップしてきた!
検査するごとに改善結果が現れた!
なによりも
いままで立てなかった患者さんが、立てるようになった!
プログラムを続け、立位の持久性がどんどん長くなった!
最初は数秒・・・それが数十秒・・・そして2分・・・
アプローチの結果がこのように現れるのはとても嬉しかったし、やり甲斐があった!
患者さんも喜んでくれたし、頑張った結果がわかるように立位時間を記録して、グラフに表したりした!
気分的には大成功の症例・・・だと思った!
し
か
し
・
・
・
実習最終日も近くなり、指導者に指摘された。
『患者さんに何が大切かをよく考えてみ?』
・高齢であること
・病気が進行性であること
いま患者さんが、必用なのは、退院したあと、どう生活するか・・・だ。
僕がしたことは、筋力をつけて、立位時間を長くすること。
たしかに、結果は出せているが、日常生活に大きく寄与するほどのものではなかった。
患者さんに必用なのは、むしろ車椅子でどう生活するか・・・ということではなかろうか?
車椅子で行動範囲を広げること、例えば車椅子で散歩したり、洗濯物干したり、トイレに行ったり・・・
そんなことが必用だったのでは?
進行性の病気であることを考えて、どう病気とつきあうかも考える必要がある。
立位時間を延ばすだけでは、「病気に立ち向かった」という努力と喜びしか残らない・・・
たしかに、筋力増強も立位訓練も重要なのだが、それがどう生活に反映されるのか・・・そして、生活で必用な機能・・・もっといえば、"今"この患者さんが必用としている機能はどんなことかを考えてアプローチしなければならないんだ・・・
実習指導者からの指摘を受けた時はガックリきた。
時間が戻れば、もっと違うアプローチをしただろう。
ほんとに患者さんに申し訳なかった・・・
あんなに喜んでいたのに、ゴメンよぅ
ありがとうって言って喜んでくれていたのにゴメンよぅ
実習指導者は、僕のこの失敗を黙ってみていたのだ。
何も知らず喜んでいた僕と患者さんをみて、カゲで苦悩されたに違いない・・・
患者さんには申し訳ないが、この経験はいまの臨床の糧になっている。
だから、こういったことを10年経った今でも思い出す。
「なにかやりのこしていないかい?」
て、患者さんの退院の度に思う。