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ハチ

早朝に目が覚めた。

汗だくである。

暑い夏のせいだから・・・というのもあるが、大量の汗の原因は、悪い夢にもあるようだった。

あるいは
夏だから寝苦しくて悪い夢を見たのだろうか・・・

僕は自転車に乗っていた。

そもそも車はあんまり好きではないので、自転車に乗ることが多い。
どこに向かおうとしていたのか、とにかく僕は自転車に乗っていた。

悪い予感とともに、僕にくっついてきたのは、スズメバチだった。

僕の首の前側に3匹。
右前側に1匹と、左前側に2匹の大型のスズメバチがいるのだ。

夢とは不思議なもので、視覚的にそれを確認することがきた。

自分の首を確認できるヒトはいないだろう。
それでも、その3匹は僕をにらんでいて、僕と対峙していた。

僕は子どもの頃から何回もハチに刺されたことがある。
ミツバチやアシナガバチやクマンバチにも刺されたことがある。

18歳の時にはスズメバチに刺されたこともある。

ハチの毒によってアナフィラキシーショックを起こし死亡している人が年間30名程度もいるらしいが、恐ろしいことだ。

あの痛みと恐怖と
特にスズメバチに刺された時は酷かった。

そのときも自転車に乗っていた。
僕は新聞配達をしていた。

毎回、配達に躊躇する家があった。

その家の前の通り道に面する倉には大きなスズメバチの巣があり、いつも大型のスズメバチがブンブン飛んでいたのだ。

配達した後に、もう一度そこを通らなければならないので、余計に憂鬱だった。

いつも、何事もないように祈りながら、怖々として通っていたのだが、ある日、スズメバチの襲撃に遭うことになった・・・

いつもよりもスズメバチの飛ぶ範囲が広く膨らんでいたので、怖いと思っていたのだが、ついに僕の頭に飛びかかってきたのだ!

羽音とともに頭にハチの感覚を感じた僕は、すぐさまに手で払いのけた。

恐ろしかったのは、その後。

ハチが振り払われたのかどうかも分からない!
振り払われていたとしても、また襲ってくるかもしれない!
もしかしたら、大群で襲ってくるかもしれない!

一目散で逃げた!
前屈みになって、一生懸命にペダルをこいだ!

なんとかスズメバチの襲撃を免れたのだが
手にうずくような痛みを感じたのはその後だった。

時間の経過とともに、中指はどんどん晴れて、手の甲まで腫れてきた。

元々痩せていた僕の手は、見事なまでにふくよかに赤く腫れ上がった。

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そのスズメバチが、今度は夢で僕を襲撃してきている。

首もとの3匹は襲撃する機会をうかがっているようだった。

夢の中では、それが夢ということが分からない。

「しかし」というのか「だから」と言うのか分からないが
首にいる3匹のスズメバチは、襲撃の機会をうかがっているのが分かった。

僕は感づいた。

僕がこのまま自転車をこぎ、あるエリアに達したら、このスズメバチは攻撃を開始するだろう。
つまり、3匹は僕の喉元に立て続けに、あるいは同時に針を刺し、毒を注入するのだろう。

なんとか、エリアの外に・・・

そう思った矢先に、スズメバチは大きくアゴを鳴らせた!

スズメバチは襲撃の前には威嚇のためにアゴをカチカチと鳴らせるらしい。

新聞配達の時も、その音を鳴らせていたのかも知れないが、僕は気がつかなかったし、その頃はそういった知識がなかったためか記憶にない。

夢の中にしてはじめて聞く、スズメバチの威嚇の音は確かにカチカチと力強く鳴っていた。
首から3匹分が、アゴを鳴らせているのである。

この恐怖分かるだろうか?

振り払ってはなけないことは分かっていた。
新聞配達の時の経験からか、そう思った。

振り払ってはいけない。
そのかわり、早くこのエリアから抜け出すんだ!

まだ威嚇の段階だから、どこかに自転車を向かわせれば威嚇が解けるはずだ。

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と気がついたら、僕は息を切らして家の玄関を駆け上がっていた。
いつの間にか、僕は自転車に乗っているのではなくて、走って玄関を駆け上がっていたのだ。

首もとのスズメバチはいなくなっていた。
が、かわりに頭上には何匹ものスズメバチがブンブンと飛んでいた!

誰か分からないけど、目の前に女性がいた。

危ないっ!

いうところで、目が覚めた。

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早朝に目が覚めた。

汗だくである。

暑い夏のせいだから・・・というのもあるが、大量の汗の原因は、悪い夢にもあるようだった。

あるいは
夏だから寝苦しくて悪い夢を見たのだろうか・・・

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