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救急リハビリ

理学療法/病院

その日は、やはり遅くまで病院に残っていた。

理学療法士としての仕事は、そんなに夜遅くまでかかるものではないけども、図書館にいたりすると、ついつい遅くなる。

僕の場合は列車通勤をしているので、最終列車を見込んで、遅くとも22時半には職場を出なければならない。

21時過ぎだったからか、内線電話が鳴った。

それをとったのは、別のスタッフだったのだけども、ER(救急救命センター)からの連絡であるようだった。

内容を聞いてみると、内線電話はERの看護師さんからで

『義足が抜けなくなった患者さんが来られているけども、ERの看護師では対応できない。』

ということだった。

とりあえず、電話を受けたスタッフと2人で、ERに行くことにした。

上品なおばあさんが、車椅子に座っておられた。

おばあさんのお話によると、以前(といっても数年前)にもこのようなことがあったのだけども、無理矢理抜こうとして、腰の骨を痛めたということだった。

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義足に付けられている金属の噛み合わせの問題で、足を義足のソケットから抜けない状態であった。

以前の腰の問題もあるので、やはり、力強く抜くことは避けたい。

かといって、幾ら金属部分尾噛み合わせに工具を入れてみても、なかなか外すことが出来ない・・・

いつもお世話になっている装具屋さんに電話を入れてみたが、既に業務終了している為かでられない・・・

義肢装具士さんの、個人電話はどうか・・・
まだスタッフ室に残っているものに聴いてみたが、わからない。

義足を分解することも考えたが、この義足に利用されている金具は、特殊な工具で無ければ外せない仕様になっていたため、断念・・・

残る可能性として高いのは、整形外科外来。
ここならば、義肢装具士さんの個人携帯か何らかの呼び出し連絡先が記してあるかも知れない。

ということで
スタッフを真っ暗な整形外科が依頼に向かわせて、僕はおばあさんと歓談。

傍らにいた娘さんから、お礼を言われた。

『ありがとうございます。これで家にいたままならば、血圧が上がってしまって大変なんです。』

とのこと。

おばあさんは血圧が上がりやすく、不安なことなどがあると血圧が200mmHg以上に跳ね上がってしまうということだった。

そういえば、病院という所は、まず、患者さんの不安を軽減するところだ。
安心を提供するところ。

リハビリの場であっても、救急救命の場であっても、そうに代わりが無い。

おばあさんには

『いま、義肢装具士さんに連絡をとっているから、大丈夫。もし連絡が取れなくても、他の手段を考えて、なんとかしましょう』

ということを伝えた。
義肢装具士さんと連絡をとれる確証はなかったし、他の手段といってもたいした案は無かったけども。

『痛くないですか?』『大丈夫ですよ』という声かけ、患部を撫でること・・・そういったことは僕にでも出来る「手当て」である。

「ウパスターナ(傍らに立つ)」
「手当て」
「寄り添う」
「気遣う」

出来ることをすればいい。

・・・
というころに、スタッフがもどってきた。

義肢装具士さんと連絡が取れるということだった。

夜にも関わらず、義肢装具士さんは来てくれるということだった。

この時点で、一安心だ。

内容を伝えているので、分解も可能だろうし、可能な範囲で義足にも身体にも負担のかからないように対処してくれるだろう。

この時点で僕は、最終列車がある為に(そして、本日中に終えなければならないカルテ入力も残っていたが)、ERを離れることにした。

なによりも
義肢装具士さんの到着をまって、おばあさんを励まし続けたかったが、まぁ、なんとかなるだろう。

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事後、スタッフに無事に義足が外れた旨を聞いた。

おばあさん、よかったね。

そして、義肢装具士さん夜中にも関わらず駆け付けてくれてありがとう。
ER看護師さん、初期対応時に諦めずリハビリスタッフまで連絡をしてみるという発想に感謝。

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参考

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