スポンサーリンク

形式知

理学療法/病院

見学させて下さい。

と新人君が言ってきた。

実は、新人君が担当していた患者さんを僕に担当交代していたのだ。
んで、その患者さんに対する僕の理学療法を見学したいとのことだった。

後輩は問わねばならない。

なぜ、自分ではダメだったのかを。

----------------

そもそも、「新人」といっても、医師からは依頼を受けて、患者さんは自分の身体を預けているわけだ。
そして、診療報酬も発生し、病院から給料も支払われる。

そういった立場。

だから、ある水準以下でのアプローチは認められない。

先日ふと見かけたら、なんとまぁハチャメチャだった。
新人君に対してもキツいことを言ったけども、指導者(新人君の先輩)にもキツいことを言った。

でも、ダメなものはダメだ。
認められない。

----------------

さて、新人君は僕のアプローチを見学した。

僕は、敢えて何かを説明するのはよした。

経験年数がどうとか言っても、お互いプロ同士だ。

本当のこと言うと、指導の上では「暗黙知(個人の感覚や経験)」を「形式知(言葉や文字)」化して伝えなければならないのだが・・・。

しかし、新人君のためにアプローチを説明することは、患者さんにとっては不利益になることもある。
限られた時間で効率的に行わなければならない時に、新人君にあーだこーだ話しながらアプローチすることは出来ない。

そもそも、見学したいと言ってきたのは新人君なので、学ぶのは彼自身。
コチラが言わずとも、必要があれば彼から聞いてくるだろう。

新人君も緊張していたのか、アプローチ中は黙々と見ていた。
「聞きたいこともあるだろうな・・・」
なんて思いつつも、僕も患者さんに対するアプローチに没頭していた。

----------------

アプローチ終了後、新人君は思い詰めた表情で手洗い場まで付いてきた。

彼も反省しているだろう。

今回の僕のアプローチの見学で、何がダメだったのか、どうすれば良かったのかを少しは感じてくれただろう。

そもそもアプローチには正解/不正解はないのかも知れないが、しなければならない確認や安全対策、そして一貫性のあるアプローチ(つまり目標達成に向いたアプローチ)を行う必要がある。

新人君の行っていたアプローチは、もはやアプローチとは言えず、患者さんをグラグラ他動的に動かして、自分自身は焦りに焦ってとにかく時間が過ぎると言ったようなものだった。患者さんも(障害で声を発せなない方だったが)不快指数が高そうだった。そして危険。

手洗い場での彼の思い詰めた表情は全てを物語っていた。
反省、自責・・・そういった表情だ。

僕が手洗いを終えるのを待って、彼は重い口を開いた。

『あの・・・』

僕が振り向くと、彼が続けた。

『なんで最後にウロバッグ(蓄尿袋)の位置を変えたんですか?』

ズルッ...ミ(ノ;_ _)ノ=3

そこかいっ!
(#゜Д゜)/バシッ!!

・・・やはり
形式知だな(笑)!

文字にして言葉にして丁寧に表出しなけりゃわからないんだね・・・
(´・ω・`)=з

そんなに僕のアプローチもすてたもんじゃないと思うんだが・・・ウロバッグの位置よりインパクトが薄いとは
(;´д`)トホホ…

にほんブログ村 病気ブログ リハビリテーションへにほんブログ村

スポンサーリンク

参考

KAZZ BLOG「リハビリ」関連の記事
KAZZ BLOG「リハビリ」関連の記事

コメント

  1. 女医M より:

    よくみる風景
    うちにはPTが30人ほどいます。
    若い人たちはみな、意見されること、ダメと言われることに慣れてないのね。

    新人だけでなく、3、4年目の子達もそうだから、結果、「君のやることにも口出さないから、僕のやってることにも興味持たないでね」みたいな空気を感じますね。

    でも、これでアプローチされた患者ははっきりいって可哀想…。

    嫌みを言うのは私の仕事と思って、ズバズバ言ってます。

    9年目の子が、理想と現実のハザマで疲れ気味だったので、今夜は屋台で景気づけに焼き鳥とビール!でした。

    元気になったみたいでしたよ。とことん理想を語って行きたいなと思う夜でした。

  2. kazz より:

    re:よくみる風景
    >女医Mさん

    シビアに仕事をできないPTは多いと思いますよ。
    技術や知識、考え方についてあれこれ突っ込まれるよりも、PT同士仲良しになれば楽なんだと思います。

    仲良しは仲良しでよいのですが、やはり専門家としてどこかお互いをシビアに見る目が必要だと思いますが、なかなかそうはいきません。お互いに自分に自身がないので、批判することを恐れる人、批判されることを恐れている人が大多数でしょう。
    まぁ、いわゆる「なぁなぁ」です。

    最近は、学生にさえも甘面で接している風潮があります。
    無意味に学生を苦しめる必要もないと思いますが、「最低限必要な知識や技術、考え方」を置いてけぼりにして、ともすれば、「そういったものは臨床に出てから身につければ良い」などといって、責任放棄している有り様です。学校の教員なんぞは、初めから何も期待していないのではないでしょうか?
    悲しいことに、国家試験はほとんどの方が合格されるわけですから、そうやって現場に出た臨床家が、介助技術や身体の触り方もわからず、いまいち知識がなく、患者さんに接することが苦手で、自らの考えや理学療法士の方向性を示せないという状況になっています。

    最近は、女医Mさん同じく、当院の主治医もPTのレベル格差を感じておられるらしく、しばしば「どうしたら良いものだろうか?」と相談を受けます。
    僕は「降圧剤を出した筈が昇圧剤だったらどうしますか?」「内容がわかっていて毒を出す必要はないと思います」と言うようにしています。また、処方時に、なるべく目的をはっきりしておいて、それにむけてアプローチしないようであれば、理由を話し合わなければならないと言ってあります。
    まさに、嫌みを言うのは主治医の仕事かもしれません(笑)。どんどん言って下さい(笑)。

    理想と焼き鳥とビールは必要です。

    仲良く話をしていて、内容がテレビドラマの内容だけなんてことにはならないようにしなければなりません。
    理想を語り続けること、悩み続けること必要ですよね。

タイトルとURLをコピーしました