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トモダチ

夕方
スタッフ室の外の廊下から

「kazz先生を・・・」

と男性の声が聞こえる。

その男性に応対していたのは女性スタッフだったけど、彼女に呼ばれる前に僕は廊下に出ていった。

廊下で僕を捜していたのは、数年前にウチの病院を退院された患者さん。

40代の若い方なのだけど、見た目はさらに若く見える。

なぜだか、僕を尋ねてくれた。

松江の有名なうなぎ屋で一杯飲んでから、ウチによって来てくれたあたりが、なんとなくアルコールから離脱できていないながらも、元気なような・・・そうでないような。

この患者さんは、若いながらにして脳卒中を患われた。

それでも、たくましく生活されているらしい。

ウチを退院してからは、障害者用の雇用施設で働いておられたらしいけども、いまでは、一般の職を得ている。

「この忙しい時期で、会社も安く雇える障害者を入れるんですよ。」

と説明してくれた。

酒は控えたらしいけども、少しは飲むとのこと。
・・・まぁ、僕より強いことは間違いない。

「先生と、飲みにいきたいんですけどね・・・でも、そういうのダメなんでしょ?病院のスタッフが患者と個人的にそういうのは、問題が起こるとかで・・・」

と、申し訳なさそうに僕を飲みに誘ってくれた。

患者と、医療スタッフの個人的な付き合いは是か非か・・・

と、そんな話もあるようだけど、そんなの別にかまわない。

そもそも、こうして患者さんが会いに来てくれただけでも嬉しい。

不謹慎かもしれないけども、生きていてくれたのだけでも嬉しい。
それが、職を得てうなぎ屋で一杯やるほどになっているんだから。

僕の返事に患者さんは

「ホンマですか?」

と嬉しそう。

「はっきりいって、友達いないんですよね・・・」

と患者さんは、付け加えられた。

友達がいない・・・

そうか。

そんなことは、入院中のリハビリのプログラムでも何も考えていなかった。

が、
もしかしたら、現実として、そういう問題は山ほどあると思う・・・

病気の都合で、友達が作りにくかったり、結婚や恋愛に支障がでたり・・・
(もちろん、病気が原因で生まれる縁もあるとは思うけど・・・)

もはや、僕はリハビリテーションの世界に働きながら、運動機能重視で生きていることを、まざまざと見せつけられた気がした。

・・・

ウーム

まぁ、とりあえず、飲みにいこうか!!!
(↑キホン、楽観主義)

コメント

  1. massa より:

    Unknown
    すげぇいい日記ですね。

    恋愛や友情や欲とかってオプションじゃないですよね。
    生きてる以上はそれが絶対必要だと再確認しました。

  2. kazz より:

    オプションにあらず。
    >massaさん
    ありがとうございます。

    そうなんです、オプションじゃないんです。

    でも、よくよく思うに、いまいち深く考えていなかったような気がします・・・

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