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時には

心臓が悪かったおじいさんは大手術を受けて、無事復活・・・

と思いきや、歩けるようになったところで、転んでしまい、今度は脚の骨を折ってしまった。

意気消沈
せっかく良くなったと思ったのにこんなことになって・・・

おじいさんは、食事をとることもなくなり、痛みに耐えながら、ベッドの上で過ごすようになった。

かなりのご高齢でもあったため、「食事をとらないこと」と「ベッドの上でじっとしていること」はほぼ死に近づくための選択に思えた。

・・・

『もう、死ぬから・・・』
『早く死にたい・・・』

と言う言葉を口にするようになった。

人生の終盤にきて、この苦難。

リハビリでも
できる範囲の運動を行うしか無かった。
なにせ、生きるための気力がない。

僕がおじいさんの傍にいると、看護師さんがやってきた。

血糖値を測るための採血を行うためだ。

おじいさんは注射針を刺されながら、口を動かした。

『もう生きていても、しかたがない・・・』

間髪入れずに看護師さんが怒り出した。

『なんてこと言うの?みんなが一生懸命やって助かった命を、そんな風に言っちゃダメでしょ!!!』

・・・

なんと言う医療の傲慢だ・・・
僕は声が出なかった。

僕はおじいさんの死の発言を容認していた。
もちろん生きてもらいたいのだけど、おじいさんの心にも体力にもその力が残されているとは思えない状況だった。

もはや・・・

なんて考えもあった。

ここにきて、おじいさんに鞭を打って、「頑張れ頑張れ」と言うことに、どこまで意味があるのか?

たしかに手術を成功させて、一命を取り留めたのは分かる。

かといって、おじいさんがピンピンに復活するというのは別の話だ。

なんと言う言葉をかけるのだ、この看護婦は!
おじいさんは、ただでさえ苦しい状態でベッドに横たわり、人生の終末に悲観しているというのに・・・

・・・

そのことがあってから数日経ち

おじいさんは・・・

見事に
大復活を成し遂げた!

起きるように努力されるようになった。

申し訳なさそうに『リハビリも一日2回やってもらえませんか?』と、言われた時にはビックリした。
以前であれば「今日はやめます」なんて言っておられていたのに!

無事、また歩くことができるようになった。
両手で道具にもたれかかりながらだけど、着々と動ける範囲を広げていかれた。

『杖で歩けるようになりますか?』
と意欲満々だ。
「この調子だと、もちろん大丈夫ですよ!」

さて、
この復活劇は、例の看護師の言葉(というか叱責)からだ。

『叱られてから、みるみる良くなられましたね』

歩くおじいさんに、そうと聞くと

ふと、立ち止まって

『あの看護師さんは、ええクスリだ・・・』

と、そう照れ笑いを浮かべておられてた。

心臓の手術を行われた先生は、このおじいさんの復活をみて、ビックリされていた。

「ほんとにリハビリのおかげでっこまできて・・・有り難うございます」

と僕に礼を述べられたのだが、
言うまでもなくこのおじいさんの心と体を支えた一番の立役者は、看護師さんだったと思う。

コメント

  1. MassA より:

    Unknown
    厳しくてブサイクなNsの言葉は医療者の傲慢に違いないと思うわけですが、

    でもおじいさんは傲慢医療者の意図とは違う何かを汲み取ってくれたのでしょう!

    陽性転移ってやつですね☆

  2. kazz より:

    >MassAさん
    おや、看護師さんに恨みでもあおりですか(笑)?

    今回の場合は、看護師さんが素で意見をしたところ、おじいさんの胸に刺さったのだと・・・そう考えています。

    どうであれ、おじいさんの復活が嬉しいです。

    反面、心のどこかで「もうダメだろうな」と思っていた僕は反省しきりです。

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