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雪の夜の想い出

春を目の前にして、もう降らなくなった雪

雪が沈む暗い夜

僕は汽車に乗っている・・・

静かな景色が流れていって、無人の駅をいくつか通り過ぎた。

僕は、窓側の席に座っていて

気づいた

進行方向に背を向けているのが好きな自分

そうすることで
景色は目の前を通り過ぎない

ただ
僕を離れていくだけ

隣にも
向かいにも乗客はいない。

田舎の列車は数人の客しか乗せない

そんななか

のんびりと遠くに流れていく景色を眺めていた。

どんどん遠ざかる夜

バイバイ

外からみた
僕は汽車の暖かい光に抱かれているように見えるんだろうか?

外からみた
真っ暗な丘を走る列車の中に、僕をみつけるのだろうか?

そうやって

汽車に乗ると、いつも思う。

自分を自分と定義付けるのは難しいような

そんな不安定さ

座標軸がたくさんありすぎて

自分を何処に安定させれば良いのか

そんな不安定さにおそわれる

そうしつつも

其処に身をゆだねる自分

春を目の前にして、もう降らなくなった雪

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