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HMC(岡山)第3日

2日半(20時間)にわたる講習会が終わった.

この講習会は「Human Movement Course」と名付けられ,いわゆるベーシックコース以前の,「人」をみるというところに焦点を当てているように思われる.

今回の講義のイントロダクションに用いられた知識はフェルデンクライスの「感受性と学習」であった.
これは,患者さんの感受性と学習であるとともに,セラピストの感受性と学習を喚起させられるのであった.

また,コウモリと蛾の生存について,

■コウモリは蛾を餌にする.
■コウモリは超音波を発して蛾を認識し捕らえる
■蛾はコウモリの超音波に反応するニューロンを持ち逃避行動をとる

ということことが紹介された.

大脳皮質を介さなくとも,このような反応が行なわれ,それは生きている(お互いに生きている)うえで,個や種の次なる戦略として絶えず更新されている.
患者さんーセラピスト間はどうだろうか?

その他,本能や,認知・記憶・情動についての紹介もなされた.

そして「Human Movement(ヒューマンムーブメント)とは」である.

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「Human Movement Course」とは
私たちが何気なくとっている姿勢,あるいは行なっている運動(動作)を,神経学(神経生物学,神経心理学,神経生理学)を背景に「観て,触れて,動かして変化(反応)をおたがいに感じる」といく評価・治療の基本を,講義,患者治療のデモンストレーション,実技練習を通して,講師とのやりとり,あるいは受講生同士による評価・治療によって,身体アライメントや反応の変化を確認することを学ぶ.(講義スライドより)
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こう定義されているとおりに,講義は進められた.
つまり

■動きについて
■神経学
■患者デモンストレーション(中枢神経疾患患者さん2例)
■実技
■講師・アシスタント・受講生のプレゼンテーション

である.

Human Movementで紹介される観察のポイントは

■正中線 Mmidline)
■姿勢 Posture (対称性 Symmetry)
■支持基底面 BOS: Bass of Support
■パターン Patterns
■バランス Ballance
※ある状態を観た時に
・Postureでいう場合:それは"主に"アライメントで表現できる
・patternでいう場合:それは"主に"筋活動で表現できる

をキーワードに行なわれる.(これらをどのように観るかを講習会で学ぶ)

そして,姿勢・動作を観て,"より正常な"状態へとセラピストの介入により変化を確認する.

"より正常な"とは
たとえば,「左右の非対称性が少ない」ことであったり,「過剰な努力を必要としない」ことであったり,「環境や課題に対して,運動を調整できること」であったりの比喩だと思う.

今回あつかわれた姿勢・動作は

■背臥位
■寝返り/起き上がり
■端座位
■端座位(からの立上がり)
■立位(片脚立位での靴下の着脱)

で,それぞれをどのように観ていくか(あるいは介入によって変化させるか)をアシスタントが解説(発表)し,受講生の実技へとうつる.

受講生36人を4人ごとのグループにわけ9グループ.
1グループに1人のアシスタントがスーパーバイズし,実技を行なった.

2人のインストラクターと,1人のアシスタント(インストラクター候補)がそれぞれ3グループをさらにスーパーバイズする(つまりスーパーバイズのスーパーバイズ).
ここでもさまざまなやりとりが行なわれる.

実技としては

■姿勢の観察
■動作の観察
■問題点の提言
■介入

を行なう.
これら,は同時に行なわれたり,繰り返し行なわれる.

最終日には受講生による発表がある.
自分たちが,対象となる人の姿勢や動作をどのように捉え,どのように介入し変化を体験するかを他者(受講生・アシスタント・インストラクター)の前でプレゼンテーションする.

・・・というと緊張するが,最終日には和気あいあいとし,緊張しながらもいろいろな意見がでたり,手が出たりと活発だ.

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参加者36名,アシスタント10名,インストラクター2名,そして関わったスタッフ複数名が,それぞれに課題を持って取り組んで成長していけた講習会だったと思う.

参加者はJBITA(日本ボバース研究会)の修了証をわたされる.
アシスタントも,アシスタントとして参加した修了証をわたされる.
それらは研究会に登録され,今後の講習会の参加選考等に考慮されるらしい.

修了証はデスクに,目の届くところにおいている.
今回の終了時に思ったことをいつでも思い出して,その時のモチベーション,課題,反省を振り返りたいからだ.
同時に,飲み会や人,参加の経緯なども,大事な宝だ.

講習会は
「教える」ということよりも
「伝える」という過程を経て受講生自身が考える,そして参加者同士(あるいはインストラクター・アシスタント区別なく)影響し合い,自らが課題をつくり解決していくように導かれる.

「教えてもらいにいく」一方公的な講習会とは違っている.
いろんあやりとりがある(多い)ところが,この講習会の醍醐味かなと思う.

あと,酒も多かった.

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